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生産性を激上げする日程調整ツール対決 Calendly vs Spir日程調整SaaS対決(1/4 ページ)

» 2023年03月31日 18時01分 公開
[武内俊介ITmedia]

 ビジネスを行う上で日程調整は避けては通れない。商談や面接、そして社内の打ち合わせなど、2人以上で同じ時間を共有してコミュニケーションを行うためには、自分と相手の日程を調整し、会議室を押さえたりオンライン会議のURLを発行する必要がある。

 コロナ禍を経て、オンラインミーティングが広がったため、会議室の予約や移動という物理的な制約はだいぶなくなったが、それでも双方のスケジュールをすり合わせる手間は相変わらずだ。その課題を解決する手段として近年、日程調整ツールが急速に普及しつつある。

 日本においてはまだ市場の黎明期であるため、複数のツールが立ち上がり、マーケットを形成しようとしているところである。そこで、今回のSaaS対決では、日本より5年以上先行する米国で日程調整ツールの雄となったCalendly(カレンドリー)と、コロナを経て急速にユーザー数を拡大している日本発のSpir(スピア)の2つ取り上げる。

 Calendlyが日本ではほとんど使われることがない(理由は後述する)ため、この2つは日本国内では明確な競合関係にはないが、日程調整ツールの発展の過程を通じて、その機能や思想を理解してもらえると幸いである。

日程調整ツールとは

 スケジュール管理は、手帳やホワイトボードでのアナログな管理から始まり、近年ではGoogleカレンダーなどに代表されるデジタルカレンダーへと発展してきた。多忙な経営層などは秘書がスケジュール管理をしてくれるが、一介のビジネスパーソンは自分自身でスケジュールを管理するしかない。

 一般的なビジネスパーソンは、1日30分以上の時間を日程調整に使っているといわれている。打ち合わせを実施するまでの日程調整の手順は、まずは自分の空きスケジュールを確認し、会議室の空き状況を確認し、それから候補日程をいくつか抽出して相手に伝達する。その候補日程の中からうまい具合に相手の空き日程と一致するところがあれば良いが、スケジュールが合わない場合はまた最初からやり直しである。

 電話であれ、メールやチャットであれ、このように何往復もやり取りが必要なコミュニケーションには時間もかかる。双方のスケジュールや会議室の空き状況など考慮する要素が大きく、頻繁に商談を行う営業担当者や、面接を実施する回数が多い人事担当者などにとっては特に負担になっていた。

 日程調整ツールの原始的な形態としては、今でも飲み会やイベントのスケジュール調整でよく使われる「調整さん」というアプリがある。リクルートが開発し、現在はミクステンド社に事業譲渡されたこのアプリは、幹事が候補日程を複数提示し、それに対して参加者が「○・△・×」で回答することで、全員が参加できる(もしくは最も参加者が多い)日を確認して、開催日を決めるという機能を持っている。

今でも飲み会やイベントのスケジュール調整でよく使われる「調整さん」

 複数人で日程調整をしようとすると膨大なやり取りが発生して収拾がつかなくなるが、「候補日に投票してもらう」という形にすることで、日程調整をする幹事の負担は大幅に軽減される。この形式を発展させたのが現在の日程調整ツールである。

 まずは初期設定として、日程調整ツールとGoogleカレンダーなどのデジタルカレンダーを連携させることで、自動的に自分の空き時間を抽出してくれるようになる。次に30分、60分など時間枠、会議室などの使用有無を設定し、候補日程として提示するURLを発行する。このURLをメールやチャットで相手に送信し、相手がその中から自分が都合の良い日時を選択すれば、その場でアポイントが確定する。

 物理的な移動を伴う場合は、アポイントの前後にバッファを設ける必要があったが、コロナ禍を経てオンラインミーティングが浸透したことで、連続したミーティングも容易になり、より日程調整ツールが使いやすくなった。アポイントが確定すると同時にZoomやGoogle Meetなどのオンライン会議ツールのURLも通知されるため、日程調整ツールを使うことで日程確定までの手間がほぼゼロになる。

 なお、「日程調整ツールのURLを送ることが失礼にあたるのではないか」という意見が一部であるようだ。業界慣習や相手との関係性にもよるため一概には言えないが、お互いに手間がかからずに日程調整ができるため、筆者の周辺ではここ数年であっという間に浸透した感覚がある。その昔、Eメールが登場したばかりの頃は「メールを送ったら電話するのがマナーだ」という人もいたようなので、このあたりの感覚は時間が経てば変わっていくのかもしれない。

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