今となってはレガシーツールといえるかもしれないが、なかなかなくならないものにUSBメモリがある。もはや「USB」だけで意味が通じるようになっており、リムーバブルメディアとしてはSDカードと人気を二分するデバイスである。さらに昨今ではUSBメモリ型のSSDも登場し、さらなる発展というか「分化」が行なわれようとしているところだ。
とはいえUSBメモリには、過去数々の情報漏えい問題の原因となってきた「黒歴史」がある。日本ネットワークセキュリティ協会(JNSA)が2018年に行なった調査によれば、個人情報漏えいの媒体ではUSBメモリが12.6%となっている。
近年USBメモリがらみの大事件と言えば、2022年に兵庫県尼崎市で起こったUSBメモリ紛失事件が記憶に新しいところだ。全市民の住民基本台帳の情報46万517人分をはじめ、住民税の情報や非課税世帯等臨時特別給付金の対象世帯情報、生活保護受給世帯と児童手当受給世帯の口座情報などが含まれていた。
USBメモリにはパスワードが設定され、内容は暗号化されていた。結果的には発見され、情報漏えいがなかったことが確認されたが、原因が無許可での持ち出しと、飲食・飲酒したのち路上で寝てしまってカバンごと紛失ということで、社会的にも大きな衝撃を与えた。
過去には地方自治体の職員や学校の先生が個人情報を収録したUSBメモリを持ち出し、紛失させるという事件が数多く発生してきた。あとから見つかり、結果的には流出はしなかった事例も結構あるが、USBメモリを扱ったり管理するのは、年々ハードルが上がりつつある。
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