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ここがヘンだよ、地方公立高校のパソコン“1人1台”事情小寺信良のIT大作戦(2/4 ページ)

» 2023年04月14日 16時00分 公開
[小寺信良ITmedia]

高校でも1人1台端末

 高校のGIGAスクール構想に基づいた個人端末の導入は、筆者が住む宮崎県では保護者負担で導入することが決まっている。子どもが持ち帰った入学準備資料には、合格者説明会の日に使用端末についての説明があるとされていた。端末の価格だけは決まっていて、5万8410円なのだそうである。

 しかしこれだけでは、BYOD(Bring Your Own Device:個人所有の端末を持ち込む方式)なのか、BYAD(Bring Your Assigned Device:指定端末を生徒側負担で購入する方式)なのか、分からない。BYODではあるが、端末の準備がない生徒に対しては、学校経由で手配するというケースもあり得るからだ。

 高校の公式サイトを見ても、そもそも1人1台端末が導入されているのかどうかも記載がない。他の高校では、昨年の導入をサイトで報告しているところもある。学校によって、対応はまちまちだ。

 もしBYADだとしても、端末の仕様が分からない。GIGAスクール構想準拠であるなら、Windows、Chromebook、iPadのいずれかということになる。5万8千円程度という価格を分析すると、3年保証とキャリングケースで1万2000円程度かかるなら、本体価格は4万5000円程度ということになる。

 A13搭載の2021年モデルiPadであれば、4万5000円程度で買える範囲ではあるが、採用している教育クラウドサービスにGoogle Workspaceの名前があることから、おそらくChromebookだろう。

 一応念のために価格.comで値段を調べてみたが、WindowsでもRyzen 3やCeleron N4020なら無いこともないが、ボリュームゾーンとしては圧倒的にChromebookである。

4万5000円前後では圧倒的にChromebook

 令和3年7月の文科省調査では、導入機種はほぼ3分されてはいるものの、最多はChromebookである。

GIGAスクール構想における導入端末比(令和3年7月文科省発表資料)

 ただChromebookは、現場の先生からは必ずしも評判は良くない。Windowsならともかく、先生自身がほとんどクラウドOSを使ったことがないこと、カメラ性能が低いことが原因のようだ。カメラ性能は、紙のプリントがうまく撮影できないというわけだろう。ITに強い読者諸氏なら、電子教材を使えよ、と思われるのは当然だろうが、現実は教材数で言えば、まだまだ圧倒的に「紙」なのである。

 Chromebookを採用する学校側は、「子どもがあんまりいろんなことができない」のをメリットに感じているのかもしれない。だが大学や社会に出て、Chromebookを使うことはほとんどないのではないだろうか。現在使っているという人でも、ライトなサブ端末としての利用はあるかもしれないが、これがメインマシンでバリバリ、という人はそうそういないのではないか。

 個人的にはChromebookにしろWindowsにしろ、この価格帯のマシンではローカルパワーがほぼないため、動画の撮影・編集が難しいことは問題にしたい。もはやパワポ作ってプレゼンできるのを目指す時代は終わり、動画で発表、プレゼンできるスキルが求められていると思うからだ。

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