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ここがヘンだよ、地方公立高校のパソコン“1人1台”事情小寺信良のIT大作戦(3/4 ページ)

» 2023年04月14日 16時00分 公開
[小寺信良ITmedia]

細かい説明もなく……

 合格者説明会当日は、上履きや体操着などの販売もあるため、現金を持参するように求められていた。学習端末の価格も出ていたので、その場で買えることも想定して現金を用意していったのだが、配布資料により、当日は買えないということがわかった。

 学校からの説明では、やはり導入端末はChromebookで、昨年から導入しているのだという。メーカーはAcerで型番も示されたが、検索してもサイトには該当モデルはなかった。学校導入専用の端末であるらしい。キーボードをひっくり返してタブレットにもなるという、フリップ端末である。

 説明会当日から10日間程度、納入事業者のサイトにて、オンラインで購入できるという。やはり予想通り、3年間の保障とキャリングケースが価格に含まれていた。

 その価格に、新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金が使われているのかの説明もなかった。しかし価格からすれば、使われていないと考えるのが妥当だろう。質疑応答も実施されないので、確認もできない。

 またそのChromebookを使って、どのような学習を行なっていくのかの説明もなかった。「高価ではあるが、昨年から導入しているのでご理解いただきたい」という話だけである。説明しても分からないだろうと思われているのかもしれないが、仮にも5万円以上の金額を出させて保護者に問答無用で買わせるわけだから、昨年からの導入成果などは知りたいところである。

 ネットで購入した端末は、県教育委員会が用意したGoogle WorkspaceとMicrosoft 365のライセンスが付与されたのち、4月下旬に学校に納入されるという。このあたりは、納入事業者がやるのだろう。端末は保護者持ち、教材ライセンスその他は自治体持ちという態勢のようだ。

 運用としては、学校では充電できないので、必ず家庭で充電してから持ってくるようにと指導された。もしバッテリーが少ない場合は、モバイルバッテリー等を持たせるようにという指示だった。

 この運用は過去、千葉習志野市で問題(学校の貸与タブレット、電気代は誰が払う?「家庭で充電」求める習志野市教委に反発も 文科省は「学校で」 | 東京すくすく | 子育て世代がつながる ― 東京新聞)になっている。市教育委員会が、配布したタブレットの充電は家庭で行なうこととした同意書の提出を求めたことで、一部の保護者から反発が起こった。教育委では同意書の提出がない場合、タブレットの持ち帰りを禁止するという強硬姿勢を示し、さらなる反発を呼んだ。

 文科省では、「基本は学校での充電」という指針を打ち出しているが、習志野市の件は電気代の負担問題というより、物の言い方や態度の問題だろうと思っている。

 仮に一般的なChromebookを例にとると、消費電力は1台3W程度である。だが充電中は、利用中の消費電力以上の電力を使用する。それゆえに家で充電してきてくれると助かる、ぐらいの言い方だったら、保護者もそれほどカチンと来ないはずだ。仮に充電で30Wを1時間使ったとしても、電気料金換算では0.3〜0.7円ぐらいのものである。

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