Innovative Tech
壁を見るだけで“壁の先にある物体”を脳活動から画像化 英国の研究者らが技術開発
Innovative Tech:
このコーナーでは、テクノロジーの最新研究を紹介するWebメディア「Seamless」を主宰する山下裕毅氏が執筆。新規性の高い科学論文を山下氏がピックアップし、解説する。Twitter: @shiropen2
英グラスゴー大学に所属する研究者らが発表した論文「Computational Ghost Imaging with the Human Brain」は、見えない向こう側の物体の反射光を見た脳活動から、その物体を画像として再構築するブレインコンピュータインタフェース(BCI)を提案した研究報告である。物体は壁に隠れて見えないにもかかわらず、反射光を見た際の脳信号を分析することでリアルタイムに物体の画像化が行える。
壁に反射した光から見えない向こう側にある隠れた物体の画像を計算で再構築する手法は、これまでにも報告されている。向こう側の光源の照明パターンを変化させ、対応する光強度の値を検出することで物体の画像を再現する手法だ。
従来はカメラなどで光量値を検出していたが、今回は人間の視覚で見た際の脳活動から画像を再構築するアプローチを試みる。具体的には、壁の向こう側に対象の物体と光源(プロジェクタ)を設置し、明滅する光パターンを物体に照射して白い表面である壁に反射させ、その壁を参加者に目視してもらう。
反射光の強度は、参加者の視覚野から検出し、1つの電極を備えたEEGヘッドセットで脳波から電気信号(定常状態視覚誘発電位:SSVEP)として捕捉される。この信号は、ラップトップで処理され、隠された物体の画像を再構成するアルゴリズムによって出力される。
実験では、「T」や「7」のようなアルファベットや数字1文字を物体としてプロジェクタで照射する。壁に反射する光を見た参加者は、リアルタイムに脳波が読み取られコンピュータ処理により画像として見た物体を出力する。実験の結果、ノイズは多いものの何となくアルファベットや数字を知覚できるレベルでの出力画像を確認した。
Source and Image Credits: Gao Wang and Daniele Faccio. Computational Ghost Imaging with the Human Brain.
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Innovative Tech
2019年にスタートした本連載「Innovative Tech」は、世界中の幅広い分野から最先端の研究論文を独自視点で厳選、解説している。執筆は研究論文メディア「Seamless」(シームレス)を主宰し、日課として数多くの論文に目を通す山下氏が担当。イラストや漫画は、同メディア所属のアーティスト・おね氏が手掛けている。
この記事の著者
関連記事
こんなメディアも見られています
ITmedia NEWSに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
SpecialPR
本日の新着記事
アクセスランキング
-
1
肖像画をChatGPTに読み込ませて出力→加工して納品 委託先による著作権侵害で、小学館「サライ.jp」が謝罪
-
2
経営「AIでラクして早く帰って」→社員「帰らない」 工数最大9割減のDeNAも悩むAI効率化の壁
-
3
新作「鬼武者」にハマったマンガ家が熱弁する、他とは違う“パリィ”の魅力とは?
-
4
農水省の“クソダサ”ポスター話題 「AIよりよっぽど良い」の声も 担当者に狙いを聞いた
-
5
“自動で耳コピ”アプリ、ヤマハが無料公開 音源読み込み→3分でピアノ譜に
-
6
デジタル相に古川俊治氏 AI戦略やサイバー安保も担当 外科医で弁護士、MBAも取得
-
7
「POPOPO」サービス終了 開始から約半年
-
8
「不気味の谷を越えた」? 中国の美男美女型ロボット「U1」話題 286万円から
-
9
「iPhone Duo」実機をマニアック目線でチェック かな入力の分割不可、ケース装着時だけの隠し設定など
-
10
東京ゲームショウと生成AI ゲームの祭典で商談見込むベンダーたち
ITmedia NEWS SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
ITmediaNEWSをフォロー
あなたにおすすめの記事PR