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取引デジタル化の最前線 インフォマートの戦略とは?SaaS対決特別編(3/3 ページ)

» 2023年04月20日 16時53分 公開
[武内俊介ITmedia]
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重要なのはタイミング

 ネットワーク効果をプロダクトの戦略として織り込む場合、売り手と買い手などの性質の違う双方のユーザーをどうやってひきつけるかが重要になる。特に獲得・維持が難しいユーザーをハードサイドと呼ぶが、BtoBプラットフォームにとってのハードサイドは言うまでもなく、フランチャイズやサプライチェーンのトップに君臨する大手企業である。

 大手企業が導入すれば取引先も導入する流れとなるが、請求書発行システムや電子契約システムをすでに導入してしまっていた場合は、その企業内で2つのシステムを並行利用することになりかねない。重要なのは、どの業界にいつ参入するかのタイミングなのである。

 そういう観点ではフード業界向け電子商取引プラットフォームに00年代前半に参入したBtoBプラットフォームは、紙やFAXといった非効率なやり取りを一掃する救世主となった。

 コロナ禍を経て、インボイス制度や電子帳簿保存法の準備に奔走する企業にとって、「どうせデジタル化するのであれば統一的な規格を作りたい」という大手企業の思惑と、「法律対応とデジタル化をきちんとやりたいが、なるべくコストをかけたくない」という取引先の思惑を、一発でかなえる唯一のプロダクトになっている。

 アナログなやり取りが当たり前で、その非効率性に疑問も持っていなかった人が多かったフード業界の中で、粘り強く電子商取引プラットフォームに向き合ってきたインフォマートの真の強みが発揮されるのは、まさにこれからなのかもしれない。

執筆者 武内俊介 株式会社BYARD代表取締役、税理士

 

金融の企画部門、会計事務所、ベンチャーの管理部門を経て、税理士・業務設計士として独立。複数社への業務の再構築とITツールの導入支援を提供した後、株式会社BYARDを創業し、業務設計プラットフォーム・BYARDを開発・提供している。

 

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