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Evernote vs Notion デジタルのメモ帳か、チーム共有のドキュメント管理ツールかSaaS対決(4/4 ページ)

» 2023年04月28日 18時29分 公開
[武内俊介ITmedia]
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デジタルのメモ帳か、チーム共有のドキュメント管理ツールか

 驚くほどのスピードで進化しているNotionに対して、Evernoteはここ数年は大きなアップデートがない状態ではあるが、第二の脳としてEvernoteに情報を蓄積すればするほどそこから離れられなくなってくる。EvernoteからNotionにデータを移行できるサービスもあるが、検索性能やオフラインで使用できる点などを勘案すれば、あらゆる情報を雑に蓄積できるという点ではEvernoteに軍配が上がる。

 一方で、組織で利用するにはEvernoteではやや機能不足であり、Notionのような同時編集性や柔軟なレイアウトが重要になってくる。ただし、自由度が高すぎるがゆえに社内できちんと設計・管理ができる体制がないと、情報が構造化されずにぐちゃぐちゃになってしまう可能性が高い。

 筆者は、10年ごろから個人契約でEvernoteを使用しており、仕事やプライベートにかかわらずあらゆる情報を蓄積している。特にWeb上で見かけた気になる記事については、Evernoteが提供しているWebクリッパーを使用してクリッピングするようにしており、後から「あの記事……」と思った際にすぐに引っ張り出せるので重宝している。

 この原稿もiPadのEvernoteアプリで下書きした上で、Macで画像などを含めて清書をし、編集部に提出している。原稿は新幹線や飛行機などでの移動中や、カフェで書くことが多いが、あえて電波がないオフライン状態で集中して書き進めるようにしている。オンラインになると、ついつい仕事のメールやチャットを見てしまったりして、気が散ってしまうからだ。こういう使い方ができるのもEvernoteの良さであり、10年以上の私の原稿やアイデア、メモなどがEvernoteには蓄積されている。

 一方で、経営しているSaaS企業の社内ドキュメントツールはNotionを利用している。顧客との打ち合わせや社内ミーティングの議事録といった通常のドキュメントに加えて、部門ごとにカンバンビューでToDoやプロジェクト管理なども行なっている。Notionにはさまざまなテンプレートが用意されており、開発チームは「スクラム開発」というテンプレートを用いて、開発ロードマップ、バックログ、ミーティング議事録などをNotion上で管理している。

 また、プロダクトの利用ガイドと採用ページについては、NotionのコンテンツをWebサイト化できるWRAPTASというサービスを使っている。頻繁に内容が更新されるページであり、デザイン性よりもコンテンツの中身が重要なものについては、Notion上で作成・更新することで管理の手間とコストを圧倒的に下げることができる。

NotionのコンテンツをWebサイト化できるWRAPTAS

 このようにNotionはドキュメントツールの枠組みを遥かに超えたところまで進化しており、非常に便利で高機能なのだが、いろんなことができる分だけ組織内で使うメンバーのITリテラシーが一定以上必要になる。さらには管理者はプログラムを書く必要まではないが、データベースについて知識が求められる。

 いつでも使えるデジタル上のノートが欲しければEvernoteを、チームで扱うさまざまな情報を集約できるドキュメントツールが欲しければNotionを、ということになるのだが、結局は両方とも必要だという人は多い。どちらも無料である程度まで使えるようになっているので、気になった方はぜひ両方とも試してみていただきたい。

執筆者 武内俊介 株式会社BYARD代表取締役、税理士

 

金融の企画部門、会計事務所、ベンチャーの管理部門を経て、税理士・業務設計士として独立。複数社への業務の再構築とITツールの導入支援を提供した後、株式会社BYARDを創業し、業務設計プラットフォーム・BYARDを開発・提供している。

 

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