楽天カードと楽天証券は、楽天カードを使った投資信託の積み立てについて、6月積立分からポイント還元率をアップさせた。しかも、今回は一般楽天カードの場合は0.5%、楽天ゴールドカードの場合は0.75%、楽天プレミアムカードの場合は1.0%と、カードのランクに応じて差が付けられている。
こうした施策の背景には何があったのだろうか。楽天カードのカード企画部長を務める岩月拓二執行役員に聞いた。
そもそも楽天カードを使ったクレカ積立は、楽天証券が急成長するドライバーの一つだった。2018年10月のサービス開始以来、積み立てた額の1%を楽天ポイントで還元することが人気を呼んだ。
一方、急成長の裏側ではクレカ積み立ての歪みも現れた。投資信託において、証券会社の収益は、販売手数料と信託報酬の一部として得られる販売会社手数料だ。ところが、販売手数料の無料化は進み、さらにつみたてNISAのスタートとそれに伴うインデックス投資ブームを背景に、信託報酬は下がり続けた。
例えば、純資産総額が2兆円を超える国内トップの投資信託である「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」の信託報酬は実質0.09284%。このうち、販売会社の取り分は0.0326%でしかない。積み立て時に1%を還元していては、還元分の回収だけでも30年かかってしまう。
当初は単体でビジネスモデルが成り立っていたクレカ積み立ても、現在は確実に赤字の状態にある。各証券会社は同様のサービスを始めたが、あくまで顧客獲得のための施策であり、出血覚悟のサービスだともいえる。
そうした背景の元、22年9月から楽天証券は信託報酬の安い投信について、クレカ積み立ての還元率を0.2%に引き下げるという変更を行った。同時に、0.5%を還元する楽天キャッシュ積み立てを開始し、積み立て手法の転換を図るようにも見えた。
そこから半年。一転して発表されたのが今回のクレカ積み立ての還元率アップだ。いったん下げた還元率を、今回再び上げる。何が起きたのだろうか。
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