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TBSアナの謝罪で話題、YouTubeの「コンテンツID」って?

» 2023年05月24日 21時12分 公開
[芹澤隆徳ITmedia]

 TBSテレビの宇内梨沙アナウンサーは5月23日、YouTubeで誤操作により他の動画投稿者に不適切な「著作権の申し立て」をしてしまったと謝罪した。ここに登場する「コンテンツID」とは何か。

YouTubeのコンテンツID解説動画より

 宇内アナウンサーのツイートによると、フロム・ソフトウェアのゲーム「SEKIRO:SHADOWS DIE TWICE」の実況配信を行った際、スタッフが設定を誤り、「Content ID」(コンテンツID)を「有効」に設定してしまった。これにより、配信映像と一致するシーンが発見された動画配信者に「申し立て」が届いたという。

 コンテンツIDは、動画や音楽のコピーを識別するYouTubeの独自システムだ。世界中でサービスを提供しているYouTubeには「毎分500時間」ものコンテンツが新たにアップロードされる(statista調査、22年2月時点)。これを全て人の目でチェックすることは不可能だ。そこで作業の自動化を図った。

 コンテンツIDが導入されたのは2007年。その後もYouTubeは研究開発と改良を進め、例えば12年には左右を反転させた動画も検知するようになるなど機能を追加してきた。これまでに投じた研究開発費は1億ドル以上に上る。

 コンテンツIDが有効になると、権利者が登録したサンプル動画はデータベースに入り、これを元にYouTube内の動画をスキャン。同じ動画はもちろん、一部が一致する動画、似た動画まで自動でピックアップして報告する仕組みになっている。

コンテンツIDの仕組み
YouTube動画をスキャン

 設定次第だが、見つけた動画のアカウントに対して「著作権の申し立て」通知を自動送信する機能もある。TBSの一件では、これも動く設定になっていたようだ。

 もちろん“誤って”著作権侵害の申し立てをしてしまう可能性はYouTube側も想定していた。このため、例えば申し立てによって収益化を停止された動画の収益は別途プールしておき、解決した後に適切な当事者へ渡される仕組みを持っている。これが働けば、今回の被害者も救われるだろう。

 宇内アナウンサーのツイートによると、現在はコンテンツIDの設定を「無効」とするために対応を進めているという。その上で「フロム・ソフトウェアはじめ、動画投稿者のみなさまに多大なるご迷惑をおかけしてしまい誠に申し訳ありません」と謝罪している。

収益は解決後に当事者へ

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