しかも、元々が単音楽器だから、それ以上の何かがあるわけではない。つまり、手にした人がいきなり何らかの曲を演奏できてしまうのだ。もちろん、上手くなるにはそれなりの練習は必要だが、まずは吹ける、演奏できるという点が簡単にクリアできるのはとても大きい。
そして、lunaticaは当然デジタル楽器でもあるから、スマホのアプリとつなげば、リコーダーの演奏方法のまま、サックスやフルートの音も出せてしまう。そして、スマホとはBluetoothでつながるし、本体もバッテリー内蔵なので、接続の手間がほとんど要らない。
もちろん、アコースティックで鳴る音を消すパーツが付属しているので、接続時は、それを本体に装着するのだけど、そのパーツも、本体にぶら下げておくことができる。だから、アコースティックとデジタルの行き来にほとんど抵抗がない。この、電子楽器だからすごいことができなければといった気負いがない感じが、楽器の入り口としてとても正しいと感じた。
ARTinoiseの技術開発最高責任者ダヴィデ・マンチーニ(Davide Mancini)氏に、開発を始めたきっかけについて聞いた。
「ある日、学校の古いフルートを見つけ、どのように演奏するかを思い出し、再び楽しむようになりました。これがリコーダーなら、小さくて頑丈で軽いので、どこにでも持ち運ぶことができます。私たちはすぐにそれをどのようにアップデートするかを考え、リコーダーの音質の特性を保持しながら機能をデジタル化しました。私と私のパートナーたちは、ARTinoiseで長年にわたり、様々な分野(家電、工業オートメーション、ホームオートメーション)の革新的な電子設計を行ってきました。そのため、ハードウェア、ファームウェア、アプリ、メカニクスを設計するために必要な多くのスキルを持っていました。私たちは市場調査を行い、同様の製品を分析し、Kickstarterを利用してプロジェクトを始めることに決めました」
さすが、イタリアはソプラノリコーダーではなく、フルートなんだとは思ったのだけど、そこから、より可搬性もあり丈夫な構造のリコーダーをベースにしようと考えたのが素晴らしい。そして、楽器専門でもデジタルガジェット専門でもないからこそ、こういうプロダクトが実現したのだということが分かる。
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