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日本人ならすぐ吹ける? イタリアからやってきた電子リコーダー「ルナティカ」に挑戦分かりにくいけれど面白いモノたち(4/5 ページ)

» 2023年05月30日 11時42分 公開
[納富廉邦ITmedia]

 ここまででも、ブレスコントローラーとしても従来あまりなかった製品なのだけど、面白いのは、さらにリップセンサーとタッチセンサーを搭載していること。リップセンサーは、口にくわえていれば、あとは息を吹き込まずに運指するだけで音を鳴らせる機能。これだと、肺活量が弱い人でも、楽しく演奏できるし、唾の量が多い人でも安心。運指の練習をしっかりやりたい時にも良いだろう。

ただの穴に見えるけれど、充電時や電源投入時などに光るので、センサーの存在が分かる。こういう演出もしゃれている

 タッチセンサーは、ホールに指を置くだけで音が鳴る機能。しかも、この場合、ホールが鍵盤のような役割になるため、なんと和音が出せてしまうのだ。グリッサンド的な弾き方もできて、これがまた面白い。専用アプリに用意されているドラムスの音色に設定すれば、笛型のパーカッションとして使えたりもするのだ。初心者向けの配慮を中心にしながらも、このやり過ぎとも見えるセンサーの搭載の過剰さが個人的に気に入っている。

 「最初から私たちは将来の開発に役立つ可能性のあるほとんどの機能を含めることに決めていました。そのため、リップセンサー、キーボードのセンサーとしてのホール、およびモーションセンサーは、ファームウェアに組み込まれています。lunaticaは、これらの特性が多種多様なユーザーにとって有用となり得ることを想定しています。だから、現時点で唯一の開放的で柔軟性のある製品になったと考えています」とマンチーニ氏が言うように、色んなユーザーが、それぞれに考える「これが出来たらいいのに」に応えられる用意は済ませてあります、ということなのだ。

 実は、使っていて感じたのだが、リコーダーに慣れていないと、どうしても唾液の量が多くなって、管内に流れた唾液がサムホール(リコーダー下部にある左手親指で押さえる穴)から垂れてくることがあるのだ。別に唾液が垂れるだけなら構わないのだけど、唾液がホールにあるタッチセンサーを濡らすとセンサーの利きが悪くなってしまう。

カラーリングも含め、PC周辺機器的でもあり、アコースティック楽器的でもあるデザインも上手い。開発だけでなく、製造も全てイタリアで行っているそうだ

 こういったトラブルに関しては「この一時的な問題には、以下の方法で対処できます。まずは、lunatica本体を下向きに振って、溜まった唾液を出してください。次に、息吹の感度を最小に設定し、より少ない吹き込みで内部に通る空気を少なくする。ミュートに小さな柔らかい材料(スポンジ、パタフィックス)と空気の出口を閉じるテープの小片を挿入する。これらの方法は感度を大幅に高め、プレーヤーはとても静かに吹けます。これは、Webサイトとre.corderアプリ内で利用可能なビデオ(16のヒント)の1つで説明されています」と、解決策を用意してくれている。これは、製品を楽器として十分にプレイしているからこそだろう。

 そういうメーカーだからか、メンテナンスのコツも具体的に教えてくれた。

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