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日本人ならすぐ吹ける? イタリアからやってきた電子リコーダー「ルナティカ」に挑戦分かりにくいけれど面白いモノたち(3/5 ページ)

» 2023年05月30日 11時42分 公開
[納富廉邦ITmedia]

 「最初の目標は、学生向けにとても基本的なブレス・コントローラー(息をセンサーで検出してシンセサイザーに情報を伝えるデバイス)を提供することでした。しかし数カ月が経つにつれてプロジェクトは大幅に進歩し、プロのミュージシャンの助けも借り、そのパフォーマンスが非常に興味深いものであることに気付きました。そのため初心者だけでなく、スタジオミュージシャンや作曲家でも使える製品にしようと仕様を“増やす”ことにしました」と、マンチーニ氏。

専用アプリ「re.corder」では、簡単な練習曲から、演奏を楽しむための曲まで、様々な曲が用意されている他、2台のlunaticaをつないで演奏する合奏モードもある。楽曲はバージョンアップで随時追加される

 学生向けで出発したためか、専用アプリはかなり学習プログラムというか、「リコーダーを吹けるようになりましょう」的な目的で作られていて、用意された楽曲を、譜面や運指を見ながら実際に吹いていく、いわゆる“音ゲー”的な部分が中心になっている。開発スタッフの1人も「アプリは初めてのユーザーを対象に考え、重視しました」という。とても合理的だし正しいと感じる。

 MIDIのブレスコントローラーとして標準的な機能は全て備えているから、管楽器の入力などに普通に使えるし、それこそ、サックスの音色にして、キーを演奏したい曲に合わせれば、普通のソプラノリコーダーの運指で、サックスソロが吹けたりもするのだ。

 モーションセンサーも搭載されているから、例えばデフォルトでは、上下の動きでビブラートが、左右の動きでモジュレーションがかかるようになっていて、音だけでなく、動きでエモーショナルな演奏をすることもできるのが、何とも楽しいところ。それこそ、上下にピッチベンドを設定すると、ギターのチョーキングみたいなプレイを管楽器でも簡単に行えるのだ。これ、やってみるとかなり楽しい。懐かしの映画「スウィングガールズ」みたいな気分にもなったり。

ホールの配置やサイズは、ヨーロッパにある多くのリコーダーのサイズを測るところから出発し、多数のプロトタイプを経て、リュート製作家(Marco Agostinelli氏)の助けも借りて最終的な寸法を決めたという

 よくできているのは、自由演奏的な楽しみも、MIDIの知識なしで結構遊べること。専用アプリの演奏モードで、音色などを選んだら、そのままYouTubeなどに移行して、好きな曲を流して、それに合わせて吹いたりといったことが可能なのだ。キーの設定なども専用アプリの中で行えるから、これを覚えると、色んなミュージシャンとセッションできる。単音楽器の強みというか、キーさえ合ってれば、適当に吹いても様になるから、ほんと気持ち良いのだ。しかも、吹く強さやタンギング、動きまでも音に反映する気持ちよさは、ギターソロにも匹敵する。

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