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2年乗ったテスラ「Model 3」の下取り価格は? その乱高下っぷりとバッテリー劣化の関係走るガジェット「Tesla」に乗ってます(2/4 ページ)

» 2023年06月24日 10時00分 公開
[山崎潤一郎ITmedia]

一気に200万円の急落に愕然とする

 2022年は、急激な円安の進行もあり、Teslaの価格が頻繁に上昇した年でした。Model 3 ロングレンジ版で言うと、22年1月の時点で564万円だったものが、短いときには、月に2回の頻度で値上げが実施され、6月末には710万円に迫るところまで上り詰めました。このような新車価格の上昇や供給不足による長納期化も、査定額の高止まり傾向を後押ししていたのでしょう。一時、「Teslaの錬金術」などといったフレーズもネット上で目にするようになりました。

Model 3ロングレンジの価格推移。21年2月、上海工場からの輸入に伴い約150万円も値下がったが、22年7月には710万円近くまで上昇し今年に入って値下り。※時間軸は均一化して表示

 そして今年の1月、Teslaは例によって、何の前触れもなく価格改定を行いました。こんどは値下げです。ロングレンジ版が約710万円だったものが、約640万円にまで下落しました。約70万円の値下げです。受注残の減少による短納期化や円高が影響しているようです。これを機にネット上では、「下取り価格急落!」といった悲鳴にも似た情報を目にする機会が増えました。

 そして、今回、筆者のModel 3の査定を依頼したところ、1万7053kmで324万円という解答でした。昨年の11月から5カ月で190万円も急降下したわけです。購入時と比較すると、残価が約64%にまで下落したことになります。新車から約1年半を経過し、距離1万7000kmで64%という数字をどう見ればよいのでしょうか。

筆者のModel 3の査定額推移。昨年11月からの5カ月で査定額が190万円も急降下。従来車の常識ではあり得ない? TeslaだからなのかあるいはEVだからなのか

 例えば、前車のメルセデス・ベンツCクラスの場合、セダンタイプで3年後の下取り価格は、一般論として新車時の45〜50%程度だそうです。それと比較すると、1年半で64%は下がり過ぎな印象です。「二束三文」を定量的に示すと何%になるのかわかりませんが、このままいくと、「EVなんて5年も乗れば二束三文」という言説もあながち間違ってはいない気もします。

 ただ、中古車の買取価格というのは、新車価格、新車納期、流通量、需要などの指標が複雑に交差しながら、市場原理により決まるわけで、この先どうなるかわかりません。持ち直す可能性も否定できません(知らんけど…)。

 自分が所有するクルマの価値が下落するのは、誰しも悲しいものです。ただ、筆者はこれまでの車歴で「下取り価格」を意識して新車を購入したことは皆無といえます。将来の価値を値踏みして乗りたいクルマや色を決め、場合によっては、諦めるというのは、私的には考えられません。

 4台のシトロエンを新車で乗り継いだ時期がありました。ちょうどその頃は、シトロエンの国内販売が年間3000〜4000台と低迷した不人気時代だったこともあり、下取り価格の悲惨さといったら筆舌に尽くしがたいものでした。写真左の新車時約280万円のC3プルリエルは、国産車ディーラーでの3年後の査定額が90万円にまで下落していました。唖然としました。ディーラーの営業担当者の申し訳なさそうな表情が忘れられません。

シトロエン2台持ちの時代。当時のシトロエンは、変わり者しか食指を動かさなかった?

 それをわかっていて、20年以上もシトロエンを乗り継いだわけですから、SNS等で「二束三文」コメントを寄せた下取り価格重視派の人からすると「あり得ない購買行動」と映るかもしれません。同様に21年5月のModel 3の注文時も将来のリセールバリューについては、まったく念頭にありませんでした。

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