ITmedia NEWS > 企業・業界動向 >

2年乗ったテスラ「Model 3」の下取り価格は? その乱高下っぷりとバッテリー劣化の関係走るガジェット「Tesla」に乗ってます(4/4 ページ)

» 2023年06月24日 10時00分 公開
[山崎潤一郎ITmedia]
前のページへ 1|2|3|4       

約32万kmで12%の劣化

 バッテリーの劣化に対するTeslaの公式見解はどうなっているのでしょうか。先日公表された「Impact Report2022」には、これまでの10年間で販売されたModel S(2012年発売)とModel X(2015年発売)から得られた車両データによる劣化率が公開されています。それによると、20万マイル(約32万km)走行後のバッテリー劣化率は12%だそうです。

劣化率(維持率)は、約32万kmで12%。初代ロードスターを含めると2008年から15年間もEVを製造しているので自動車のバッテリーマネジメントに関する知見は世界屈指

 筆者のModel 3に当てはめると、納車時532kmだったものが468kmに落ち込むという計算です。ただ、リポートの12%という数字は在野の車両の走行距離から収集した結果です。バッテリーの劣化原因は、他に経年劣化という要素もあります。今後、15年、20年といった時を経ると、もっと短い走行距離でも劣化が進む可能性は否定できません。

 また、リポートの測定対象となったModel SとModel Xには、パナソニック製のバッテリーが搭載されています。筆者のModel 3 ロングレンジは、LGエナジーソリューション製のバッテリーを搭載しています。メーカーが変わっても同じ耐久性を保てるのか、といった疑問もあります。

 Teslaの発表ではなく、在野のユーザーの劣化情報はないものかと思っていたら、Model 3 ロングレンジで4年半、16万キロを走破したEd Fessler氏が「バッテリーは新車時の94%を維持」というYouTube動画を公開していました。4年半、16万キロで6%の劣化は誇れる数字です。

 ちなみに、Teslaには、納車から8年間、走行距離合計19万2000km (いずれか早い方)まで70%のバッテリー保証が付帯しています。バッテリーの交換となると軽く200万円の費用がかかるそうなので、仮に現車を8年を超えて乗り続けて故障してしまったら……。考えたくありません(現実逃避)。

 というか「5年で二束三文」派の言説に従うと、納車から8年後の2029年には筆者のModel 3は、確実に価値ゼロになっているはずです。バッテリーを交換して価値が復活するのかは未知数です。

 2029年にはTeslaやEVを取り巻く状況はどうなっているのでしょうか。EVに消極的と報道されてきたトヨタですが、2027〜28年を目処に全固体電池を搭載した次世代のEVを投入すると発表しました。

 トヨタのプレゼン資料によると、なんと航続距離は約1200kmだそうです。おまけに、10分以下の充電で10〜80%を充電可能だとか。「そのような高出力対応の急速充電器が設置されるの?」という疑問は脇に置いておいて、EVユーザーとしては楽しみが尽きない時代になりそうです。

著者プロフィール

山崎潤一郎

音楽制作業の傍らライターとしても活動。クラシックジャンルを中心に、多数のアルバム制作に携わる。Pure Sound Dogレコード主宰。ライターとしては、講談社、KADOKAWA、ソフトバンククリエイティブなどから多数の著書を上梓している。また、鍵盤楽器アプリ「Super Manetron」「Pocket Organ C3B3」「Alina String Ensemble」などの開発者。音楽趣味はプログレ。Twitter ID: @yamasakiTesla


前のページへ 1|2|3|4       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.