バッテリーの劣化に対するTeslaの公式見解はどうなっているのでしょうか。先日公表された「Impact Report2022」には、これまでの10年間で販売されたModel S(2012年発売)とModel X(2015年発売)から得られた車両データによる劣化率が公開されています。それによると、20万マイル(約32万km)走行後のバッテリー劣化率は12%だそうです。
筆者のModel 3に当てはめると、納車時532kmだったものが468kmに落ち込むという計算です。ただ、リポートの12%という数字は在野の車両の走行距離から収集した結果です。バッテリーの劣化原因は、他に経年劣化という要素もあります。今後、15年、20年といった時を経ると、もっと短い走行距離でも劣化が進む可能性は否定できません。
また、リポートの測定対象となったModel SとModel Xには、パナソニック製のバッテリーが搭載されています。筆者のModel 3 ロングレンジは、LGエナジーソリューション製のバッテリーを搭載しています。メーカーが変わっても同じ耐久性を保てるのか、といった疑問もあります。
Teslaの発表ではなく、在野のユーザーの劣化情報はないものかと思っていたら、Model 3 ロングレンジで4年半、16万キロを走破したEd Fessler氏が「バッテリーは新車時の94%を維持」というYouTube動画を公開していました。4年半、16万キロで6%の劣化は誇れる数字です。
ちなみに、Teslaには、納車から8年間、走行距離合計19万2000km (いずれか早い方)まで70%のバッテリー保証が付帯しています。バッテリーの交換となると軽く200万円の費用がかかるそうなので、仮に現車を8年を超えて乗り続けて故障してしまったら……。考えたくありません(現実逃避)。
というか「5年で二束三文」派の言説に従うと、納車から8年後の2029年には筆者のModel 3は、確実に価値ゼロになっているはずです。バッテリーを交換して価値が復活するのかは未知数です。
2029年にはTeslaやEVを取り巻く状況はどうなっているのでしょうか。EVに消極的と報道されてきたトヨタですが、2027〜28年を目処に全固体電池を搭載した次世代のEVを投入すると発表しました。
トヨタのプレゼン資料によると、なんと航続距離は約1200kmだそうです。おまけに、10分以下の充電で10〜80%を充電可能だとか。「そのような高出力対応の急速充電器が設置されるの?」という疑問は脇に置いておいて、EVユーザーとしては楽しみが尽きない時代になりそうです。
著者プロフィール
音楽制作業の傍らライターとしても活動。クラシックジャンルを中心に、多数のアルバム制作に携わる。Pure Sound Dogレコード主宰。ライターとしては、講談社、KADOKAWA、ソフトバンククリエイティブなどから多数の著書を上梓している。また、鍵盤楽器アプリ「Super Manetron」「Pocket Organ C3B3」「Alina String Ensemble」などの開発者。音楽趣味はプログレ。Twitter ID: @yamasakiTesla
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PR