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「ドコモ解約騒ぎ」にはならなかったけど…… 批判集めた「irumo」「eximo」は何が良くなかったのか(2/3 ページ)

» 2023年06月28日 12時00分 公開
[房野麻子ITmedia]

過去に問題となった「割引前提の料金アピール」

 さらに、発表会やプレスリリースで、割引適用後の料金を前面に押し出す手法も批判されている。2020年にKDDIは「Amazonプライム」付きのプランを発表したが、複数の割引を適用しないと安くならない仕組みだったため、ネット上で落胆と批判の声が高まった。「さよならau」というワードがトレンド入りしたほどだったが、その前例を忘れてしまったかのような打ち出し方だ。

irumoの3GB料金は、割引適用後に月額880円と他社よりも確かに安いが、あくまで割引適用後の価格。

 ahamoの料金プランが分かりやすいのは、割引や条件がなく、自分の支払う金額がすぐ分かるからだ。正規料金と複数の割引、さらに割引適用後の料金を並べると表が複雑になり、分かりにくさが一気に増す。料金プランの分かりにくさは総務省の有識者会議でも問題視されている。割引が悪いとは思わないし、分かりにくくなるのも仕方がない部分があるとは思うが、割引料金が正規料金のように見えてしまわないように表記を工夫してほしい。

ARPUを上げたいタイミングか

 批判とは別に、なぜこのタイミングで新プランが発表され、7月からすぐにスタートするのか、さまざまな考察がなされている。ドコモ自身は「通信キャリアなので料金プランは検討し続けている。お客さまの声を分析しながら、どうすれば満足していただけるか、選んでいただけるかを考え続けている」(NTTドコモ 営業戦略部長 山本明宏氏)とし、NTTレゾナントとの統合に合わせたわけではないと述べた。

 ただ、irumoがドコモの料金になったことで、低・中容量を求めてY!mobileやUQ mobileに乗り換えていくユーザーをドコモ内に引き止めやすくなる。山本氏は「ドコモで安いプランを出してほしいという声がたくさんあった」と述べており、小容量ユーザーが他社に乗り換えてしまうケースが多かったことも認めている。流出をなるべく早く止めたいという思いはあっただろう。

 また、データ容量を4G端末より多く消費する傾向がある5G端末が浸透してきており、各キャリアともARPU上昇の兆しが見える。一方で、燃料費高騰によるコスト増や円安はキャリアの業績に影響している。さまざまなものが値上げする中、国から料金値下げを強要された携帯電話会社にも、目立たないように値上げしたいという気持ちがあるのではないか。そんな見方も出ている。

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