JR東日本は7月6日、新宿駅南口で混雑緩和を目指して「ラウンドアバウト実証実験」を行うと発表した。7月10日から12日までの3日間、新宿駅南口13・14番線階段付近のコンコースで午前7時から午前10時10分まで実施する。
ラウンドアバウトは欧州発祥の交差点の形式の1つで、日本語では「環状交差点」と呼ばれる。中心となる場所の周りを車両が一方向で周回しつつ、行きたい方向へ離脱していく形で、「合流と分岐を繰り返すことで、より安全に進行方向を変えられることが特長」という(JAFのWebサイトより引用)。
これを通勤・通学客で混雑する朝のコンコースに設け、歩行者が一方向に動くことで安全でスムーズな乗り換えにつなげるのが実験の目的。13/14番線から各方面へ乗り換える人と、小田急線乗り換え口から出てきた人が交差しないよう、エレベーターを中心に反時計回りに一方通行とする。
実験中は、エレベーターを中心にパーテーションを設置して通行方向を表示する。周辺にはポスターを貼り出す他、係員や動画を表示するデジタルサイネージで客を誘導する。
JR東日本は「歩行者を対象としたラウンドアバウト実証実験を駅の構内で実施するのは世界的に見ても珍しい試み。朝の通勤時間帯におけるお客さまの安全でスムーズな通行を目指す」と説明している。
効果検証のため、コンコースの天井にLiDARセンサーを設置して人の流れを記録する。LiDARはレーザーを使って距離を測るもので、今回はカメラなどを用いずに広範囲の人流を計測するために利用する。JR東日本は「プライバシーを侵害することなく、データ収集が行える」としている。
実験には東京大学大学院 工学系研究科の西成活裕教授が協力する。西成教授は様々な渋滞を研究する「渋滞学」の提唱者で、JR東日本とは2018年から連携している。21年には京都工芸繊維大学の村上久助教授らの研究チームに参加し、「歩きスマホ」をテーマにした研究でイグ・ノーベル賞を受賞している。
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