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カゴメ“全社DX”の舞台裏 現場〜経営層をどう巻き込んだ? ヒントは「情シスのおぜん立ては足かせに」

» 2023年07月21日 08時00分 公開
[ITmedia]

 DXには“正解”がないため、取り組むのに苦労するケースも多い。よく挙がる課題の一つが、現場から経営層まで巻き込んで全社一体でDXを進める難しさだ。そこで今回は、全社を挙げてDXを進めるカゴメの挑戦と工夫から、成功の秘訣(ひけつ)を紹介する。

 カゴメは、デジタル活用を中核とした変革の波に乗り遅れないようDXの取り組みを2016年に始めた。最初は既存業務の改革や基幹システムの刷新からスタートし、それから小規模なDXプロジェクトを積み重ねて全社展開につなげた。

photo カゴメの秦誠氏

 「いかに経営を巻き込み、企業戦略と融合するかが大きなポイントです。経営層と現場に立脚したコミュニケーションを数多く取り、両者が共創する仕組みを作ることが大事だと思っています」――カゴメのDXを進めた同社の秦誠氏(情報システム部 部長)はこう話す。


 では、経営と現場をどう巻き込めばいいのか。秦氏はDXの具体的な取り組みについて、ITmedia主催のオンラインイベント「Digital Business Days -SaaS EXPO- 2023 Summer」(8月22日〜9月10日)の講演で明かした。この記事では、イベントの開幕に先立って秦氏の講演の一部をお届けする。

photo カゴメが進めたDXの流れ(秦氏の講演資料より)

“オールカゴメ”で立ち向かうDXの本丸

 カゴメはDXで実現すべきことの本丸として「革新的な生産性向上」「既存事業の成長」「新規事業の創出」を掲げ、営業部門やマーケティング部門など主要部門での取り組みを進めた。

 その一つがマーケティングプラットフォームの整備だ。これまで各事業部がばらばらに管理していた顧客の購買情報や自社アプリのデータを、顧客情報統合基盤(CDP:Customer Data Platform)に集約して新たな価値の創出を図った。

 構築したCDPを最大限活用するには事業の横断が欠かせない。そこで全社横断でプロジェクトチームを結成し、“オールカゴメ”でCDPを使った顧客体験の向上を進めた。その結果、野菜の摂取不足解消に向けた健康管理アプリをリリースするなど新たなビジネスにつながった。

photo CDPの活用(秦氏の講演資料より)

DXが進むと「情シスのおぜん立てはもはや足かせ」 その先はどうする?

 こうした成果を得られたのは、経営層の関与を高める取り組みが功を奏したからだと秦氏は振り返る。もともとカゴメは、食品業界で経済産業省の「DX銘柄」に選ばれた日清食品ホールディングスや味の素などの先進企業と比べて、IT整備には差がないものの、DXを進める経営の仕組みに差があったという。

 そこでDXの全社展開をスムーズに進めるため、DX施策と企業戦略を融合した。22年の中期経営計画に「カゴメDX戦略2025」を盛り込み、DX推進指標や売り上げ貢献度などを具体的に記載。これに基づいて取り組むことで、経営に資するDXに向けて一致団結できた。

 ここまで全社に広がると「もはや、全てに対して情報システム部門が関与しておぜん立てするのは物理的に不可能で、足かせになる」と秦氏は話す。

 そこで経営層と現場を巻き込むため2つの会議体「デジタル化推進会議」「DX推進委員会」を設置した。前者は主に経営層がトップダウンでDX戦略を描き、後者は現場からボトムアップで変革風土の醸成を進めることが目的だ。

 この両軸をどう回すことでDXを成功に導いたのか――この続きはぜひオンラインイベントの講演でチェックしてほしい。

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