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カゴメ、“誰も理解できない基幹システム”を刷新 DX成功の裏に「ある会議」の存在 役割は?

» 2023年08月18日 07時30分 公開
[ITmedia]

 DXに取り組むとき、現場の情シス部や事業部だけでは限界があるため、経営層やマネジメント層の協力が大切だ。しかし経営層の巻き込み方についてのアドバイスは意外と少ない。そこで今回は、全社的にDXを進めたカゴメが、基幹システム刷新プロジェクトで実施した“とある会議”の工夫に迫る。

photo カゴメの秦誠氏

 「カゴメでは428の基幹システムが稼働し、複雑すぎて誰も全容を理解できておらず、ヘルプデスクに寄せられる問い合わせは年間7300件に上りました」――2016年当時こんな課題を抱えていたと、DXの旗振り役であるカゴメの秦誠氏(情報システム部 部長)は話す。


 数々の基幹システムが積み重なった結果、外部環境の変化に柔軟に対応できないなど経営リスクになってしまった。各システムの仕様もばらばらで、他社との協業も難しい状況にあったという。この状況を打開し、真のDXにつなげるべく社内外を巻き込む大規模なプロジェクトを始めた。

 プロジェクトを成功させた鍵が、情シス部門と事業を担う現場、そして経営層の連携を生んだある会議だ。秦氏はITmedia主催のオンラインイベント「Digital Business Days -SaaS EXPO- 2023 Summer」(8月22日〜9月10日)の講演でその詳細を明かした。この記事では、イベントの開幕に先立って秦氏の講演の一部をお届けする。

photo カゴメが抱えていた課題(秦氏の講演資料より)

大型プロジェクト始動 売り上げ3000億円を支える基盤づくり

 16年に始まったカゴメのDXは4段階に分かれている。まずDXの準備として基幹システムの刷新や業務改革を進め、次にDXをスモールスタートし、その成果を踏まえて全社に展開していった。

 一連のDXの根幹となるのが、基幹システムの刷新だ。これまで多数のアドオンプログラムを導入し、システムを業務に合わせて使っていたため管理コストが大きかった。そこで旧態依然の業務を抜本的に見直して標準化することで、システムに業務を合わせることを目指した。目標は売り上げ3000億円を、法定労働時間以下の1人当たり年間1800時間労働で支えられる基盤だ。

 刷新した基幹システムは原料の調達や製品の生産、物流管理、人事や会計システムに至るまで多岐にわたる。カゴメ社内外を巻き込む大型プロジェクトになった。

photo カゴメが進めたDXの流れ(秦氏の講演資料より)

現場〜経営層が連携 “ある会議”の役割は?

 秦氏らは基幹システムの刷新に向けて綿密な準備を進め、ついに20年1月にシステムを切り替えた。最初の3カ月間は大混乱で、稼働当初はシステム障害が積み重なって処理できないこともあったが、その後は安定期に移行できたと秦氏は振り返る。この過程で、業務を止めたことは一度もなかった。

 最終的に、システムを業務に合わせるよう調整していた「SAP ERP」のアドオンプログラムを約9割削減し、不要なシステムの廃止や保守費用の合理化などを実現できた。

 この成功の裏にカゴメ独自の「アドオン判定会議」がある。経営層が参加する会議で、現場が挙げた標準化できない業務の独自性を認めるかどうかジャッジする。ここで現場と経営層の目線を合わせたことで、基幹システム刷新をスムーズに進めらたという。

 このアドオン判定会議をどう運用したのか、その後カゴメはDXをどう進めたのか――この続きはぜひオンラインイベントの講演でチェックしてほしい。

カゴメDXの裏側をチェック!

 DXに求められる変革の大きさを考えると、もはや情シスだけでは太刀打ちできない――そこでカゴメはDXにどう取り組んだのか。講演で詳しく紹介します。

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