すでに特定のユーザーが取得していた「@X」というスクリーンネームを一方的に取り上げ、自社の公式アカウントのネームとして使用していることが判明した米X(旧Twitter)だが、他のスクリーンネームについても、一方的に剥奪している事例が出てきた。
「@xai」というスクリーンネームを所有していた日本のユーザーは、「いつの間にか勝手にアカウント変わってる」とし、自身のIDが「@xai_」に前触れもなく変わっていたと投稿。Xからのコンタクトは特になく、金銭やグッズのやりとりなどもなかったという。
現「@xai」のアカウントは、イーロン・マスク氏が立ち上げたxAI社に関連するもので、編集部で確認したところ7月13日から稼働しているのが確認できた。もともとのスクリーンネームは不明なものの、「@xai」を無断で取り上げて代わりのネームをあてがい、2週間前から活動を開始していたとみられる。
また、「@Xai_」というスクリーンネームを持っていた別のユーザーは「@xai__1」というネームに変わっていることも確認した。同ユーザーは2015年以降投稿していないが、過去には「@xai_」でメッセージをやりとりしていたことが判明している(しかも過去のリプライは新旧2つのネームが見える事態に)。つまり、「@xai」というネームを取り上げるために、“玉突き”で複数のユーザーに影響が出てしまっている状況だ。
なぜ、「@xai」というIDをXは欲しがったのか。イーロン・マスク氏は、「宇宙と自然を理解しようとするAI」を開発する企業として、7月にxAI社を設立している。「@xai」は、企業の公式アカウントとして利用するために強引に取得したものとみられる。
同社は、「ChatGPT」などで知られる米OpenAIや、米Google、米Microsoft、英DeepMindでAI開発を手掛けてきたメンバーが集まった企業で、イーロン・マスク氏によって設立された。X社とは別企業ではあるが、Xや米Tesla、その他の企業と緊密に連携し、独自のLLM「TruthGPT」を開発するとされている。以前、同氏はAIの開発停止を呼びかける公開書簡に署名した直後に、1万台のGPUを購入。生成AIの開発に取り組むとされていた。それを実行するのが同社と考えられる。
イーロン・マスク氏は、「X」にこだわりを持つことで知られており、米PayPalの前身にあたるオンラインバンク「X.com」を1999年に立ち上げた他、Starlinkなどを提供する米SpaceXもその一つ。こうしたことから、今後もイーロン・マスク氏が立ち上げる新会社に「X」という文字が入る可能性は高く、企業名と同じスクリーンネームを持つユーザーから再び剥奪しかねないといえる。
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