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あの「ネコ型配膳ロボ」はなぜ猫モチーフになった? CEOに直接聞いてみた(2/2 ページ)

» 2023年08月09日 16時36分 公開
[吉川大貴ITmedia]
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LLMや人型ロボットへの興味は? トウCEOの目線

──すでに日本では7000台超の配膳ロボットを提供しているとのことですが、展開して気づいた日本市場特有の特徴や課題はありますか

トウCEO: 日本市場はロボットが受け入れられやすい印象です。他の国と比べてもトップではないでしょうか。一方で、家賃が高いからか、狭いレストランが多い課題もあります。そのため、配膳ロボットを導入する際は、ロボットが通路を通れるかが問題になりやすいです。当社では中型機のBellaBotが道を通れない場合、小型機の「KettyBot」を提供することで対応しています

──昨今は対話AIやLLM(大規模言語モデル)が話題です。ロボットにも取り入れようとする動きがありますが、Puduでも検討しているのでしょうか

トウCEO: 当社でも検証は続けています。Puduが提供するロボットが持つ機能は大きく2つで、一つは清掃・配膳・配送といった作業の機能、もう一つはコミュニケーション機能です。前者については、清掃や配膳、配送という目的を果たすのが第一で、その効率性を最も重視しています。この領域に対話AIによるコミュニケーションを加えるのは、かえって効率を妨げる可能性があると考えています。

 ただし、コミュニケーション機能では対話の重要性が異なります。接客や案内、プロモーションといった業務ではコミュニケーションが重要です。こちらの方向性では、対話の機能を追加できるようにしています。

──LLMと同様に人型ロボットも注目を浴びています。米Boston Dynamics製のものや、米TeslaのTesla Botなどが話題ですが、CEOはどのように見ていますか

トウCEO: 中国でもはやっており、注目しています。人型ロボットは、ロボット産業界においても技術や市場規模が発展している分野です。一方で、いくつか未解決な点があるとも考えています。

 例えばコストの問題です。ロボットが普及するかどうかはコストや大規模な量産が可能かにかかっています。人型ロボットはまだこの点が解決しておらず、改善の余地があります。

 もう一つは実際に特定の用途で使えるかどうかという点です。人型ロボットはさまざまな領域で使えるであろう点が特徴ですが、具体的にどう使えるかがまだ整理されていません。どんな領域でどんな仕事ができるかはっきりしていないので、みんながいま探っている段階と思います。

 一連の問題が解決しないことには、まだ市場が爆発する段階には入らないと思います。ただ、単一の機能に長けた当社のロボットに対し、人型ロボットはいろいろな場面に対応できる特徴があるので、われわれとしてもこの領域を注視しています。

──今後、Pudu及びトウCEOが作っていきたいロボットがあれば教えてください

トウCEO: 配膳においては、半室外であまり通路が広いわけではない場所で使えるようなものを今後開発するつもりです。清掃では現在、室内の利用を前提にした小〜中型のものを提供していますが、中〜大型のものや、室外・半室外の清掃が可能なものを開発する予定です。ロボットが持つコミュニケーション機能も強化し、より自然な対話ができるようなものを開発するつもりです。

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