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» 2020年11月09日 15時45分 公開

ロボットにあえて“足りない部分”を作る理由 ヒトとロボットのコミュニケーションのためにメーカー3社が考えた方法(1/4 ページ)

ヒトとロボットのコミュニケーションはどのように起き、ロボットはどのようにして家庭に受け入れられていくのか。「CEATEC 2020」の講演でロボットメーカーの3社がヒトとロボットのコミュニケーションの在り方について対談した。

[石井徹,ITmedia]

 ロボットの活用と聞くと、最初に思い浮かべるのは工場で稼働するような産業分野での利用かもしれない。しかし近年では、家庭で愛されるパーソナルロボットの分野も盛り上がりを見せつつある。

 例えばソニーの「aibo」はAIでさまざまなことを学習できるロボットだが、高度なAIやコミュニケーション機能を持たずとも、人に愛されるロボットも登場し始めている。GROOVE Xが作る「LOVOT」(ラボット)がその1例で、なでられたりするとうれしそうなしぐさを見せる程度の機能しか持っていない。

 ヒトとロボットのコミュニケーションはどのように起き、ロボットはどのようにして家庭に受け入れられていくのか。オンラインイベント「CEATEC 2020」で10月23日に行われた講演で、新しいロボットの形を模索する3社がヒトとロボットのコミュニケーションの在り方について対談した。

 登壇者はGROOVE Xの林要CEO、ユカイ工学の青木俊介代表、アバターインの深堀昂代表取締役CEOの3人。

左からユカイ工学の青木俊介代表、GROOVE Xの林要CEO、アバターインの深堀昂代表取締役CEO

“足りない”から手を差し伸べたくなる

 3社のロボットに共通するテーマは「エモーショナル」。ロボットが人のコミュニケーションを促し、感性に訴えかけるのだ。

 ユカイ工学の青木氏は、3社のロボットの共通点として「足りない」部分を強みにしていると指摘する。「ちょっと足りない部分があると、人間が手を差し伸べたくなる。そこからコミュニケーションが発生する」(青木氏)

ユカイ工学の青木俊介代表

 ユカイ工学のBOCCOシリーズは、テーブルに置ける小さなロボットだ。動き回ったりはしないが、家族の連絡ツールにできる。初代モデルは2015年に発売され、2020年末には第2世代モデル「BOCCO emo」の出荷を控えている。

ユカイ工学のロボット「BOCCO」

 ボール紙のような柔らかい見た目のBOCCOは、見守りロボットの一種だ。ロボットの形を取ることで、子どもやお年寄りでも親しみやすい。触って、話し掛けてみたくなる魅力がある。スマホアプリでボイスメッセージを送れる機能を搭載する他、各種センサーとの連携や絵本の読み聞かせ機能、朝や夜に話しかける生活サポート機能などを搭載している。

emo語という“ことば”を話すようになった「BOCCO emo」

 新モデルのBOCCO emoはより丸みを帯びた見た目になり、emo語という“ことば”を話すようになった。例えるなら赤ちゃん言葉や任天堂のキャラクター「ピクミン」のような独特な発話で、何を話しているのかは聞き取れないが、構ってやりたいという気分にさせられる。これがBOCCOの“足りない部分”だ。

 GROOVE Xの林氏も青木氏の意見に共感する。「ロボットはここに行き着くのだなと感じた。ノンバーバル(非言語的)なコミュニケーションが意外と人を癒せる。バーバルなコミュニケーションを取り、仕事をこなすために作られていたロボットが、ついに感情の領域に入り始めた」と現状認識を示した。

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