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» 2020年11月09日 15時45分 公開

ロボットにあえて“足りない部分”を作る理由 ヒトとロボットのコミュニケーションのためにメーカー3社が考えた方法(4/4 ページ)

[石井徹,ITmedia]
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 「家庭にnewmeを持ち込むと、まずは奥様方にイヤだと拒否され、たいてい倉庫に仕舞われる。1週間ぐらいするとリビングに置かれるようになるが、入っている時以外は裏向きに伏せておかれる。それが1カ月すると家庭に溶け込むようになり、3カ月たつと、通信を切るときに家族からハグをされるようになる」(深堀氏)

 「現在は実験として貸し出しているので、返却してもらって他の家庭に送りたいのだが、多くは返したくない、このまま使いたいという反応をもらう。特に高齢者の場合は、息子さんがアバターロボットに入って無言で同じ時間を過ごす場合もあるようだ。会話もせず、ただテレビ番組を見るだけという使われ方もしている」(同)

 深堀氏の話からは、アバターロボットが自然に生活に溶け込んでゆく可能性が垣間見える。

ロボットと暮らすこれからの社会は?

 2030年代、ロボットと共生する社会がやってくるのかという問いに対しては、3者がそれぞれの立場からの予測を示した。

 GROOVE Xの林氏は「相棒になるかならないかで言えば、なるに決まっている」と断言する。

 「そもそも人間が特別だとは思っていない。人間も生物学的なメカニズムで作用する1つのシステムだ。ロボットも高度化していくと、人間との境界が曖昧になってくるだろう。そのとき、ロボットは人間の絶対的な味方になる可能性もある。人間の心理的安全性を確保して、より有意義な生き方を促すパートナーになってくれる」(林氏)

 そして林氏は、ロボットを社会のダイバーシティ(多様性)として検討するのが重要と主張する。

 「スキンカラーや性別の多様性がなぜ求められているのかといえば、道徳的な問題以前に、多様な方がチームとしての生産性が高まるからだ。ロボットがいれば生産性も高まる」とした上で、オフィスにLOVOTを置いた際の事例を挙げる。

 「オフィスにLOVOTを置くと、まずは女性に人気が出て、その後おじさんたちがこっそり愛でている様子が観察される。上司としていつも怖い顔のおじさんの意外な側面を引き出せるのは、チームとして働く上で有意義だ。LOVOTの今の形でも、生産性に貢献しているともいえる」(同)

 ロボットとの共生について、アバターインの深堀氏は垣根を設けなくても溶け込んでいく可能性があると指摘する。avatarinでは実証実験の一環として、混雑した休日の百貨店でアバターロボットを運用したことがある。当初は人混みの中での運用にはロボット専用レーンが必要だと深掘氏は考えていたというが、人とアバターロボットの触れ合い方を見て、その考えを改めたとも話す。

店舗で店員から説明を受けるnewme

 「コロナ禍前の休日の百貨店で、普通に買い物をすると、めちゃくちゃな混雑の中でアバターロボットを動かすことになる。それでも、混雑で動けなくなったりしたとき“すみません”と一声掛ければ、一般のお客さんと譲り合って買い物ができた。後ろから声を掛けたときには、ロボットだと気付かず後から二度見する人もいる」と深掘氏。

 「そもそも人間同士でもぶつかることもある混雑では、人々はこれまでも譲り合って行動してきた。それがアバターロボット越しになっても、コミュニケーションとして成立するのではないか」(同)

ロボットというアバター越しにも人間同士のコミュニケーションは成立する

 青木氏は、少子高齢化が進む日本において、ロボットに頼る生き方も許容されていくだろうと考える。

 「将来的には、800万〜1000万人が認知症の予備軍になるといわれている。ちょっとあやふやな人が増えても、“いい加減”に暮らせる社会を作っていくことが重要ではないか。そのとき、ロボットならではのアプローチもできる。お年寄りに『薬を飲んだ?』と聞くときも、家族から聞くとカドが立つが、BOCCOがしゃべれば素直に飲んでくれることも多い。人間がロボットやアバターのように、誰かに頼って生きていくのも当たり前になっていくだろう」(青木氏)

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