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SaaSビジネス研究所
インタビュー
» 2023年08月30日 15時00分 公開

バックオフィスSaaSは生成AIをどう取り入れるべきか マネーフォワードの現状と今後の課題(2/4 ページ)

[吉川大貴ITmedia]

「答えを効率よく導く手段」 バックオフィスSaaSにおける生成AI

 早速チャットAIの活用を進めるマネーフォワード。とはいえ、すでにさまざまな企業で活用が模索されているだけあって、一見すると同社の取り組みは幅が狭いようにも見える。しかし、マネーフォワードが最初の取り組みとしてAI提案(β)やAdmina AIのような形を選んだのには、チャットAIに対する同社の見立てがあるという。

 同社の杉田さんはバックオフィスSaaSにおけるチャットAIの用途について、大きく分けて(1)情報を整理して処理・加工する、(2)現状を可視化する、(3)未来の予測、(4)予測した情報を基に提案を行う──が考えられると話す。

 (1)は、文章を基に計算式を作る「AI提案(β)」のようなイメージだ。(2)や(3)は集めた情報をレポート化してもらったり、将来的な数値の推移を予測してもらうイメージ、(4)は予測を基にしたアドバイスなどが当てはまる。

 生成AIといえば、イラストを生成したり、記事を作ったりと、創作活動を代替するようなイメージが強い。杉田さんもチャットAIを含む生成AIには「存在しないものを作る使い方」があるとしているが、一方で先述した用途のような「課題の答えを効率よく導き出す使い方」もあると考えているという。

 そして経理などの業務を効率化する目的のバックオフィスSaaSでは、後者の方が求められる価値に沿っている──というのがマネーフォワードにおける方針というわけだ。

 以上を踏まえて改めてAI提案(β)やAdmina AIを見てみると、各機能が同社の方針に沿っていることが分かる。AI提案(β)はユーザーが入力した情報をExcelの数式に整理しているし、ユーザーの依頼に沿って現状の数値を提示するAdmina AIは(2)に当たるだろう。杉田さんも「(1)と(2)は一番やりやすいところだと思う」と話す。

 (3)(4)についても取り組んでいるが「未来の予測や提案についても取り組んでいるが、そもそも提案には予測が必要。ただ、未来の予測は答えが見えないものなので『課題の答えを効率よく導き出す』使い方とは厳密には矛盾する。そこで(何を以て将来の数値の推移を導き出すかの)基準みたいなものを定義する必要が出てくるので、(1)(2)よりは後になる」(杉田さん)という。

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