一世を風靡(ふうび)する生成AI。特にChatGPTをはじめとしたチャットAIは、すでにさまざまな企業・団体が導入を始めている。いわゆる“社内ChatGPT”のように活用するところも多い一方、自社サービスにチャットAIを活用した機能を組み込み、付加価値を高めようとする企業もある。
会計SaaSで知られるマネーフォワードもその1社だ。同社は給与計算を支援する「マネーフォワード クラウド給与」など2サービスで、チャットAIを活用した機能の提供している。ただし、いずれも無節操に導入しているわけではない。
杉田圭さん(ビジネスカンパニー執行役員兼カンパニーCPO)や、子会社であるマネーフォワードi(東京都港区)の今井義人社長によれば、同社における生成AI活用には独自の考え方があり、最適な活用の形を模索している段階という。
普及が急激に進むチャットAI。バックオフィスSaaSはこの波をどう乗りこなすべきか。同社グループによる機能開発の背景となる考え方や、現在直面している課題から、そのヒントを探る。
マネーフォワードは8月時点で、マネーフォワード クラウド給与と、マネーフォワードiが提供するSaaS管理サービス「マネーフォワード Admina」で生成AI機能を提供している。
マネーフォワード クラウド給与の「AI提案(β)」機能は、チャット欄に「こういう計算がしたい」と文章で入力すれば、AIがExcel関数にして出力してくれるもの。
例えば「割り増し基礎を所定労働時間の月平均で割り、1.25を掛け、小数点第2位になるよう切り上げする。これを残業単価にする。残業単価に残業時間(平日)をかける」と入力すると「ROUNDUP(割増基礎/所定労働時間(月平均)*1.25,2)*法定外時間(平日)」といった形で、日本語を“Excel語”にしてくれる。
マネーフォワード Adminaでは「Admina AI」機能を提供している。こちらはAIアシスタントのような機能で、例えば「このSaaSの支払い情報を教えて」と指示すると、Admina上で管理しているデータから答えを教えてくれる。
「○○のアカウントを削除して」など、特定の操作をチャットで行うことも可能だ。要求を入力すると操作画面を呼び出してくれるので、そこから実行できる。いずれも、開発には大規模言語モデル「GPT-3.5」などのAPIを使用している。
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