年齢や同伴者、服装、渋谷での行動内容まで、データをリアルタイムで蓄積──渋谷駅周辺にAI100台を設置するプロジェクト「渋谷100台プロジェクト」のWebサイトにあるとある記述が、8月31日ごろからX(Twitter)上で物議を醸している。
実施主体は、AIカメラを使ったサービスを展開するIntelligence Design(東京都渋谷区)と渋谷未来デザイン、渋谷再開発協会。同プロジェクトでは渋谷駅周辺の商業施設や公共の場にAIカメラを100台設置。7月から同エリア利用者の人流データを取得し解析するのが目的で、防犯やマーケティングに使えるデータを作れるとしている。
SNS上で問題視されているのは、取得する情報の詳細さ。AIカメラを使えば、個人の行動データを恒常的かつリアルタイムに蓄積できるとしている。公式Webサイトでは取得できる情報として以下のように記述していた。
「40代/男性、同席者有り(30代/女性)、ブランドAを着用/所持、休日12時より渋谷に銀座線で到着、ヒカリエでランチ、 明治通りを通り、宮下パークへ低速で移動(ショッピング目的を想定)、月3回目(前回:休日◯曜日)・今年10回目の渋谷、ヒカリエ来店数◯回、前回店舗A・Bにて購入を実施……」(原文ママ)
取得できる情報は、性別、年齢、服装、持ち物、行動、位置情報など。100台のAIカメラを使えば、各人物の移動を追跡できるとしている。情報の取得に当たって同意を得る旨の記述はない。Intelligence Designの「POLICY」ページには「保有個人データ取扱いに関する苦情の申し出先」の記載がある。
これについてXでは「怖い」「渋谷に近寄れない」「同意なしに情報取得していいの?」といった反応が挙がっている。
プロジェクトの説明によると、AIカメラで取得したデータはIntelligence Designが保有し、映像については解析後破棄するとしている。取得したデータの一部は個人を特定できる情報を含まない形でオープンデータ化を計画しているという。
Intelligence Designは同プロジェクトがXで話題になって以降、9月1日に公式Webサイトの記述を修正。問題視されていた画像と、「100台のエッジAIカメラでわかる顧客像」と題する表の「通年データ保有」という項目を削除している。
変更履歴には当初「当サイト内の誤りがあった箇所について内容を一部修正」したと記述していたが、その後「当サイト内にて誤解を招く表現がある箇所について内容を一部修正」したとの記載に変更している。
ITmedia NEWSはサービス提供の目的や問題視されている箇所についての法的認識、Webサイトの情報修正の理由についてIntelligence Designに問い合わせており、返信があり次第追記する予定だ。
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