LightningはUSB Type-Cに先んじて生まれた。その優位性もあって、アップルがすぐにUSB Type-Cへの移行をしなかったのは分かる。
だが、Macは2015年発売の「MacBook」からUSB Type-Cを電源インタフェースとして採用、iPadも2018年発売の「iPad Pro(第3世代)」からUSB Type-Cを採用している。
一方で、iPhoneはもちろん、AirPodsやMagic Mouseなどの周辺機器まで、Lightningを採用し続けてきた。ある部分不統一にも思えるし、筆者自身不満を感じることもあった。
ではなぜアップルはLightningを採用し続けたのだろうか? 正確な理由をアップルは語っていないので、ここからは想像である。ただし、そこまで実情から乖離してはいないだろう。アップルがLightningを採用し続けた理由は3つあると考えられる。そのうち2つをまず説明したい。
1つ目は、よく言われる「Made for iPhone(MFi)認証」ビジネスの絡みだ。
そして2つ目は「USBの混乱」である。
両者は表裏といっていいほど関連性が強い。LightningはAppleが開発した独自のインタフェースだ。Appleは「MFi認証プログラム」によって、規格を外れた製品が使われるのを防いでいる。
MFiとはApple製品での周辺機器認証プログラムであり、iPhoneだけがターゲットというわけではない。しかしここで主に問題となるのは、Lightningを使ったケーブルの認証についてだ。
ケーブルの場合にはMFi認証チップが入っていて、それがないと「認証されていない=素性が不確かなケーブル」だとして、OSアップグレード後などに使えなくなる可能性がある。
結果としてLightningケーブルは、MFi認証がある製品であればトラブルの多くを防げる。
一方でUSBの場合、規格自体が複雑であること、メーカーの体制や質もバラバラであることから、「質が悪く不適切なケーブル」にぶつかるとトラブルを起こしやすい。
だからLightningは安心……とアップルは主張してきた。そこには一定の理があるのも間違いない。USBに比べ混乱ははるかに少ない。
だが、幅広いメーカーが作っており、経済合理性が高くなったUSB Type-Cに対し、Lightningは価格面で不利になる。また、そもそもUSB Type-CとLightningのケーブルを両方使うのはめんどくさい、というのは多くの人が感じた本音だろう。
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