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さすがキヤノン、一眼カメラを“そのまま”載せた人工衛星を2基も打ち上げていた(1/2 ページ)

» 2023年10月21日 12時00分 公開
[山川晶之ITmedia]

 キヤノンが10月19日から20日にかけて、パシフィコ横浜で開催した自社イベント「Canon EXPO 2023」。同社が持つ新技術や最新ソリューションを一堂に揃えたイベントなのだが、その中で気になるものがあった。とあるブースの一角に展示されていた2基の人工衛星がそれだ。

キヤノン電子が製作した超小型人工衛星「CE-SAT-I」(左)と「CE-SAT-IIB」(右)

 聞くと、キヤノン傘下のキヤノン電子が手掛けている超小型衛星のシリーズで、2017年に初号機「CE-SAT-I」、2020年に2号機「CE-SAT-IIB」を製作、打ち上げたという。いずれも地球観測用として現在も稼働中で、初号機は84cmの地上分解能(高度500km)を持ち、自動車の認識が可能。乗用車かトラックかを識別できるという。また、地表だけでなく月などの天体も撮影することができる。

「CE-SAT-I」が撮影した東京(品川〜お台場)エリア
「CE-SAT-IIB」に搭載された超高感度カメラ(M100とは別)が捉えた夜の東京

 この人工衛星だが、何とパーツは9割が自社製。姿勢制御に使用する太陽センサー、地磁気センサー、スタートラッカー、慣性基準装置の他、衛星の姿勢を変えるアクチュエータ群も自社製という。ホイールを内蔵し、その反作用で衛星の姿勢を変えるリアクションホイールも、プリンターなどで培ったモーター技術を採用。地球の磁場を使って姿勢を制御する「磁気トルカ」も自社製で、衛星の組み立ても全てキヤノン電子で手掛けている。

 なお残りの1割だが、太陽光パネルなどがそれに当たるという。

恒星をトラッキングして自位置を把握するスタートラッカーも自社製
リアクションホイールといったアクチュエータパーツ群も、プリンティングなどキヤノンが持つモーター技術を活用したものという
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