SNS上で物議を醸していた書籍「オタク用語辞典 大限界」を巡って三省堂は10月26日、声明を発表した。語釈の不備や不適切な用例として指摘された部分について「可能な限り改善した」と説明。書籍の制作作業には大学生も関わっており、それらの人物への中傷コメントなどは止めるように求めている。
大限界は、名古屋短期大学現代教養学科の学生12人がオタク用語約1600項目を採集し、語釈と用例を付した辞典。「日本の男性アイドル」「K-POP」「2.5次元」「ポケモン」「原神」「BL」など全14章で構成している。しかし、特定キャラクターのせりふを取り上げながら、その作品に触れていないとなど、各かいわいでの暗黙の了解や言外のルールのようなものを「軽視している」などの指摘があり、物議を醸していた。
この件を受け、書籍の編者である小出祥子さんは、小出さんのゼミに参加する大学生たちがゼミ活動の中で制作した“試行錯誤しながら作り上げた書籍”と説明。「自分たちの大好きな作品や推しを語る言葉を、熱意をもって集め、説明を施した。語釈には未熟で独りよがりに感じられる部分もあるかと思うが、それは著者たちがその用語を使うときに感じる情熱や興奮を、読者に伝えようと、ノリやニュアンスも大切にして執筆したため」としている。
一方、語釈の不備や不適切な用例についての指摘については「大変ありがたく、真摯に受け止め、可能な限り改善した」という。小出さんは「書籍の出版は、ゼミ活動の成果の発表であり、この後は、読者に批評してもらいながら、育てていただくものと思っている。皆さまの意見、感想は、大変貴重なものとして受け止めている。ぜひ本書中の語釈を確認した上で、改めて考えを聞かせてもらえるととありがたい」と続けた。
また、関係する大学生の個人SNSアカウントに中傷コメントを書くのは止めてほしいとも言及。「できるだけたくさんの方に、本書と、それにかけた熱意を知ってもらいたいという純粋な思いから作成してくれたアカウント。一般に向けて書籍を出版する以上、批判は真摯に受け止めるべきだが、まだそのような訓練を十分に受けていない若者であるため、どうか理解してほしい」と訴えた。
版元の三省堂も、連名でこの件に対する見解を述べている。「見本ページを見た方から、種々批判をいただいているが、特定の方々をおとしめたり侮辱したりするような意図は全くない。ただそう解される余地のありうるところは、刊行までの間にできるだけ改善する。見落としなどもあるかと思うので、気付いた点があれば、問い合わせフォームから意見を送ってほしい」(三省堂)
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