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公式ストア以外いる? 国のスマホ「サイドローディング」論争で多数の指摘、あぶり出された問題点とは小寺信良のIT大作戦(3/4 ページ)

» 2023年10月31日 12時00分 公開
[小寺信良ITmedia]

「決済・課金システムの利用義務付け」の問題点

 スマートOS上では、サービスを提供するアプリ内からアイテムやコンテンツ等を直接購入する事ができず、OS公式の決済システムを通す事になっている。若しくはブラウザを立ち上げて、個々のサービスへログインして課金するといった、いわゆるデスクトップOSと同様の手法を取る事になる。これが独占的であり価格競争が生まれないとして、サードパーティの決済・課金システムも利用できるよう義務付けようというのが、施策の趣旨だ。

 消費者の決済トラブルの相談を多く抱える「公益社団法人 全国消費生活相談員協会」では、

オンラインゲームの未成年者トラブルなどの場合、Apple、グーグルにより、一定条件をクリアした場合には速やかに返金されることから、かなりの割合で解決できています。

 と現状を評価する。その一方で、OS事業者とサードパーティ事業者の決済・課金システムが混在するようになれば、

現状においても、インターネット上で契約して、その後支払い請求が来ても、どこと契約したのか確認する方法がわからずに相談に来る消費者がいます。(中略)

決済サービスを選択させる際には、契約の相手方は誰か、その特性、申し出する場合の窓口など、それぞれのサービスごとに、明確に表示する必要があります。また、異なる相手方に申し出た際には、サポートをしていただく必要があります。

 とする。後半が若干わかりにくいかもしれないので補足すると、例えば役所で誤った窓口に書類を提出した場合、窓口は適切な部署を案内するとともに、送付などで案内できない場合は速やかに関係部署に書類を転送するよう、行政法によって義務付けられている。このような消費者サポートを全決済・課金システムの運用者に義務付けなければ、ワークしないだろうという話である。

 同様に「一般社団法人 全国消費者団体連絡会」は、

決済・課金について、1つのアプリに2つの異なる決済システムを組み合わせることは、消費者の混乱を招くことに繋がります。トラブルが発生した場合に、どこで決済したのかわからなくなり、その問い合わせにも時間とコストがかかって、却ってトラブルが増えてしまう可能性もあります。また、複数の決済システムから一つを選択する場合に、その決済システムがプライバシー保護の面で十分に機能しているのかを確認するすべはありません。

 と指摘する。さらに詳しい解説として、「東京大学先端科学技術研究センター/一般社団法人経済安全保障マネジメント支援機構」の指摘が参考になる。

一つのアプリケーションソフトの内部で複数の課金・決済システムが併存する場合、まったくの同一物に複数の価格が存在することとなるばかりでなく、決済・課金方法ごとにプライバシー侵害の危険が別々に存在することになる。(中略)

顧客データをアプリケーションソフト開発者が直接に把握すること、即ち複数の課金・決済システムを提示されてプラットフォーム事業者を信頼している又は明確に区別が分からない状況にあるユーザのプライバシーを侵害する危険が生じることを容認していると受け取らざるをえない。

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