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「このイベントはiPhoneで撮影されました」 Appleが新Mac発表イベントの“裏側”を公開

» 2023年11月02日 23時00分 公開
[山川晶之ITmedia]

 「このイベントはiPhoneで撮影されました」――新チップ「M3」ファミリーになったMacBook Pro/iMacが発表されたAppleのオンラインイベント「Scary fast.」で最後に表示された文言だが、その撮影の裏側を紹介した「Behind the scenes: An Apple Event shot on iPhone」を米Appleが公開した。

イベントの最後に明かされた「このイベントはiPhoneで撮影され、Macで編集されました」の文言
オンラインイベント「Scary fast.」の本編

 Appleのオンラインイベントといえば、プロモーションムービーやプレゼンターの製品紹介シーンなど、映像クオリティの高さに定評がある。珍しく、日本時間の午前9時から開催されたこともあり、多くのユーザーがイベントを視聴していたが、この一文に多くのユーザーが驚きの声を投稿していた。

 公開された舞台裏によると、全フッテージが「iPhone 15 Pro」「iPhone 15 Pro Max」を使い、豪Blackmagic Designが9月に公開した「Blackmagic Camera」アプリで撮影。15 Pro/Pro Maxから導入された「Apple Log」が適用されている。編集は、自社の「Final Cut Pro」ではなく「Davinci Resolve」で行っており、Blackmagic Designのプロダクトが全面採用されている。

Appleが10月31日に開催したオンラインイベント「Scary Fast.」のメイキング動画
撮影アプリはBlackmagic Designの「Blackmagic Camera」
編集は自社の「Final Cut Pro」ではなく「Davinci Resolve」

 iPhoneは、Bluetoothで接続する「Tentacle Sync」でタイムコードを生成。各種アセットとの同期を可能にしている。また、Blackmagic Cameraが捉えた映像はiPhoneのUSB-C経由で50台のモニタリング用モニターに出力されたという。コーデックはApple ProResが使用されたとみられ、外部SSDに直接記録する様子が確認できる(外部モニター出力とどう両立したのかは不明だ)。

アプリ内に表示されているストレージの残容量が2TB近くあるため、外部ストレージに直接書き出していることが分かる

 撮影にはBeastgripのリグの他、クレーン、ドリー(台車)、ドローンにiPhoneを搭載して実施。ブラシレスジンバル(おそらくDJI RONIN 2)やSpaceCam社のスタビライザーヘッドなども使われたようだ。映像品質に直結するライティングも大型照明が多数使われており、カメラ以外はプロフェッショナルユースの機材で固められているのが分かる。

iPhoneはドリーに取り付けられたブラシレスジンバル(おそらくDJI RONIN 2)に固定されている
SpaceCamリグに取り付けられたiPhone
ライティングはプロフェッショナル機材で固められている。光は映像の品質に直結する大事な要素だ

 映像クオリティーに定評のある自社イベントで、メインカメラとして使うことで映像機材としてのポテンシャルの高さを示したiPhone 15 Pro/Pro Maxだが、同時にプロフェッショナル機材の強力な下支えによって実現したことも伝わるメイキング映像といえる。

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