ITmedia NEWS > 社会とIT >

ニコニコ、Mastercardでの決済を突如停止 原因は“猫の動画”? 「カードブランドとの不和」疑う声も

» 2023年11月09日 19時55分 公開
[松浦立樹ITmedia]

 動画投稿サイト「ニコニコ」は11月8日、一部Mastercardを使った決済を一時停止したと発表した。事前告知などはなく、同日午後10時ごろに停止した。この件を巡り、X(元Twitter)上では「ニコニコの運営会社であるドワンゴと、Mastercard側との不和が原因では」などと臆測を呼び、話題になっている。

ニコニコが一部Mastercardを使った決済を一時停止

 決済一時停止の理由についてドワンゴは「諸般の事情」とし、詳細は明らかにしていない。しかし決済停止の前には、ニコニコ上に掲載されていた、ある人気動画が削除されていた。

 それは「汚い仔猫を見つけたので虐待することにした(1匹目)」というタイトルの動画だ。タイトルだけ見ると、とんでもない動画に思われるが、実際に再生すると、子猫の体をお湯で洗っているだけで、暴力を奮う様子は映っていない。いわゆる“釣りタイトル”の一種ではあるが、投稿主の優しさをたたえるコメントが多く、300万再生を超える人気動画であった。

 この動画が投稿されたのは2014年9月で投稿からすでに9年が経過しており、投稿日から9周年を迎えた日にはニコニコの公式Xアカウント(@nico_nico_info)でもそれをお祝いの投稿をしている。しかし、そんな人気動画が11月8日に突如削除された。

汚い仔猫を見つけたので虐待することにした(1匹目)」は9日午後7時時点では削除済みに

 投稿主であるeiz5963さんは自身のユーザーページで「この動画に対してMastercard社から非公開要請があった」とし、10月8日に非公開にしていたという。要請は「この動画が動物虐待などの要素を含むため、違法もしくはブランド棄損に当たる禁止商材に該当する」と指摘しているという。

 この要請をeiz5963さんに伝えたドワンゴからは「クレジットカードブランドからの指摘や要請があった場合、その判断でニコニコ全体でのクレジットカード利用を制限される場合があるため、本件対応に至っている」と説明があったという。しかし、ドワンゴは続けて「ただし本件については、当社としても指摘内容が正確なものであるとは疑わしい」「改めての内容精査要請を行い、カード会社から対応撤回があれば動画を復旧する」と述べたとしている。

 このような書き込みがあったことから、ニコニコのMastercardの決済一時停止の声明はユーザー間でも話題になっている。決済一時停止を報告したニコニコのポストには「すげぇ判断してきたな」「Mastercardの不当な検閲に対してニコニコが英断を下した」「MasterCardの信頼性が地に落ちていく」など、ニコニコの対応を評価する声やMastercardの対応に疑問を呈するリプライが多く付いている。

動画の削除を知らせた投稿にはコミュニティーノートによる補足説明も付いた

 Mastercardを巡っては、DMM.comが22年7月に、Mastercardブランドのクレジットカードの取り扱い終了を突如発表し話題になった。DMM.comは以前成人向けサービスを手掛けていた(現在はDMMから分社化したデジタルコマースが運営)ことから、SNS上では表現規制との関連を指摘する声も出ていた。

 ITmedia NEWSではドワンゴに対して、一部Mastercardの決済停止に至った理由について問い合わせを行っている。返信があり次第、追記する。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.