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“改悪”続きで「脱・楽天経済圏」の声も 「証券会社の引っ越し」で知っておきたい、注意点と候補先(2/4 ページ)

» 2023年11月13日 13時00分 公開
[斎藤健二ITmedia]

持っている株式は売ってはいけない

 楽天証券から、例えばau経済圏のauカブコム証券、ドコモ経済圏に仲間入りするマネックス証券に乗り換えたいと思った場合は、どんな手続きが必要なのか。まず移行先の証券会社の口座を開くことが必要だ。最近はeKYCも普及しており、紙の書類を送ることなく口座を開けるのが普通になってきている。問題がなければ数日で開設が行える。

 一つ気にしておきたいのがアフィリエイト的なポイント獲得だ。新NISAを目前に、各社の口座獲得競争は激しくなっており、ポイントサイトを経由して証券口座を開設すると1万円分程度のポイントがもらえることも増えている。ポイント経済圏を意識しているユーザーなら、調べてみると面白い。

 口座開設が終わったら、次は資産の移動だ。現金は銀行経由で簡単に移せるが、株式や投資信託はどうするか? 最も簡単な資産の移動方法としては、まず楽天証券で株式を売却して、その資金を次の証券会社に移動し、改めて株式を買い直す方法が思いつく。ただし、ほとんどの場合はこの方法はやめたほうがいい。

 株式の税制は、売却時に利益があったら、利益の20.315%を税金として支払うというものだ。いったん売却して、次の証券会社で買い直す方法だと、含み益に課税されてしまう。株式投資で重要なのは”複利の力”だといわれるが、複利とは利益に対してさらに利益が乗っていくことを指す。いったん売却することで税金を支払うのは、含み益を損なうことで複利の力を削ぐことになってしまう。

 ではどうするか。その方法が「移管」だ。株式や投信、国債などは売買せずに別の証券会社に管理を移動することができる。この手続きを移管や振替と呼ぶ。移管によって株数や取得日、取得価額などのデータを、他証券会社に移すことができ、売却には当たらないので、税金も発生しない。

移管の例。ここでは他社から楽天証券への移管となっているが、注意点は同じだ

 楽天証券の場合、サイトの「マイメニュー」の中から移管の手続きが行える。ほとんどの証券会社で紙の書類を郵送する必要がある中、Webで完結する素晴らしい仕組みだ。

 注意点はいくつかある。まず手続きを行ってから、移管先の証券会社に移るまでに一週間程度の時間がかかる。また移管先の証券会社が取り扱っていない商品は移管できない。日本株ではまず大丈夫だが、外国株式や投資信託の場合、取り扱い商品に差があるのが普通なので、事前の調査が必要だ。

 楽天証券の場合、株式の移管は無料で行えるが、投信については1銘柄3300円の手数料がかかる。最近は、移管先の証券会社で手数料を負担してくれるところも増えているので、チェックしておくといいだろう。

移管の手数料(楽天証券)。他の証券会社では株式の移管などでも手数料がかかる場合がある

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