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雷2.4兆回分か、高エネルギーの宇宙線検出 「アマテラス粒子」と命名 大阪公立大など

» 2023年11月24日 12時42分 公開
[産経新聞]
産経新聞

 宇宙から陽子などの微粒子が高エネルギーで降り注ぐ「宇宙線」の観測に取り組む大阪公立大などの国際研究グループが、過去最大規模のエネルギーを持つ宇宙線の検出に成功した。到来した方向には発生源となりうる天体が見当たらず、未知の天体現象に由来した可能性がある。グループは「アマテラス粒子」と名付けて粒子の種類や発生源を調べる。成果をまとめた論文は11月24日(日本時間)、米科学誌「Science」に掲載された。

 宇宙線は宇宙空間を飛び交う高エネルギーの放射線で、大規模な爆発やブラックホールなどが発生源と考えられている。宇宙における数々の現象を解き明かすカギになるとされている。

photo 米ユタ州の砂漠に設置された地表粒子検出器群で高エネルギーの宇宙線を検出するイメージ(大阪公立大・京都大L-INSIGHT・Ryuunosuke Takeshige提供)

 研究グループは米・ユタ州の砂漠で、琵琶湖の面積に近い700平方kmのエリアに507台の検出器を等間隔に設置。2021年5月27日早朝に244エクサ(エクサは10の18乗)電子ボルトのエネルギーを持つ宇宙線が観測されたという。

 1991年に観測された「オーマイゴッド粒子」(320エクサ電子ボルト)に次ぐ高エネルギーで、雷2.4兆回分にあたるエネルギーが込められている計算になる。

photo 米ユタ州の砂漠に設置されている地表粒子検出器(大阪公立大提供)

 アマテラス粒子の第1発見者となった大阪公立大の藤井俊博准教授は「最初は間違いではないかと思った。さらに研究を進めることで、未知の宇宙現象を解明できる可能性がある」と話した。

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