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ムダなSaaSを“お片付け” 勃興するSaaS管理ビジネスの可能性 祖業を生かすマネフォ流の戦略はSaaS for SaaSの世界(2/4 ページ)

» 2023年11月27日 10時21分 公開
[武内俊介ITmedia]

SaaS管理を家計簿のように捉える「マネーフォワード Admina」

 マネーフォワードは、2012年に会計簿アプリ「マネーフォワードME」をリリースし、その後「マネーフォワードクラウド」シリーズで会計、人事労務などのバックオフィス向けのプロダクトに進出した。さらに新規事業開発やM&Aで複数の事業領域を追加し、今では売上高200億円超、従業員数2000人超の巨大スタートアップグループとなっている。

 マネーフォワードiもグループ会社の一つで、情シス向けプロダクトを手掛ける。社名の「i」は「international」の意味で、創業時からエンジニアは外国人メンバーでそろえるなど、グローバルな組織を志向しているという。

 マネーフォワードiが提供するマネーフォワードAdmina(旧「マネーフォワードIT管理クラウド」、以下「Admina」)は、マネーフォワードが初めての手がける情シス向けプロダクトであり、SaaS管理ツールとして250強のSaaSとの連携・管理が可能だ。AdminaのWebサイトのトップには「クラウドサービスの無駄なコストを削減し、棚卸しなどの作業を効率化する、SaaSの会計簿管理ツールです」の記載があり、家計簿のようにSaaS管理ツールを捉えるという考え方はユニークといえる。

photo マネーフォワードAdminaのイメージ(公式サイトから引用)

 マネーフォワードの祖業であるマネーフォワードMEは2500以上の銀行やクレジットカード、ポイントカードと繋がる日本を代表する家計簿アプリだ。アカウントアグリゲーションサービス(Web上で提供されている銀行や証券会社などの複数のサービスについて、アカウント情報をあらかじめ登録し、一度の認証だけで残高や利用明細といった情報を一括して参照できるようにするサービス)は2010年代には複数あったが、現在はそのほとんどが撤退してしまっている。

 外部のサービスと連携して、その残高や利用明細などの情報を集約するというシンプルな機能に見えるが、接続する全てのサービスとの連携を開発することに加えて、各サービスの仕様変更に合わせてメンテナンスし続けることが必要であり、連携数が増えるほどにその維持管理は大変になる。

 マネーフォワードiの今井義人社長は「アカウントアグリゲーションの技術がSaaS管理ツールに横展開できたわけではないが、そういった泥臭いことを厭わずにやり続けることができるエンジニアのDNAのようなものは、しっかりと受け継がれている」と語る。

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