「われわれは創業以来72年間、外径が22mmまでのミニチュア・ボールベアリングの製造を続けています。最近はお客様の声に応える形で、40mm近辺までの製品も作りますが、それも小さいベアリングで培った技術を横展開させているという形です」と話してくださったのは、ミネベアミツミの油井強さん(機械加工部品統括 ベアリング統括部 営業技術部長)。
小径のタイプは、ボールベアリング市場としてはニッチな製品なのだそうだが、ダウンサイジングや消費電力の軽減など、小さな部品で摩擦を減らす要求は増えていて、ミネベアミツミのボールベアリングの需要も拡大しているのだという。
「当社のボールベアリングには、3つの良さがあります。一つは、ボールが転がる外輪と内輪の溝(転走面)の精度です。なめらかな回転を実現する為にここをいかに丸く作るかというのが重要なのですが、この精度がナノメーター(1mmの100万分の1)の世界の真円度に達しています。二つ目は、使用するボールの真球度です。ボールをどれくらい丸く作れるかへのこだわりも強いです。三つ目は構成部品の材質ですね」と油井さん。
これらの技術が、実際どの程度の製品を生み出すことができるのかに、ビジネス抜きで挑戦したのが、「世界最小のボールベアリング」と、ミネベアミツミのスタッフが世界記録を持っているという「世界最長の回転時間記録を持つボールベアリングを使用したハンドスピナー」だ。
世界最小のボールベアリングは、外径が1.5mm、中のボールの直径は0.25mm。現在、ミネベアミツミのボールベアリングは機械によるオートメーションで量産されているが、ここまで小さいと、日本国内の工場にいるプロのスペシャリストが手で組み立てているそうだ。元々、製品化を考えて作ったわけではないが、結果的に技術力のデモンストレーションになり、超高級機械式腕時計などに実際に使われている。
回転時間の世界最長記録を持つハンドスピナーは、実際に回させてもらったのだが、これが本当に回り続けるのだ。
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