技術面でのトレンドは、なんといってもセンサーの進化。
昨今の大きな変化は速度。
CMOSセンサーの宿命で、高速な被写体を撮影すると最初と最後で若干のタイムラグが生じるため歪みが発生する。ローリングシャッターによる歪みなので「ローリングシャッター歪み」と呼んだりする。メカシャッターで露光の瞬間をコントロールすることで抑えられるが完璧じゃない。
そこを軽減すべく高速読み出しのセンサー(ソニーの積層型センサーがその代表だ)が登場し、ニコンの「Z 9」と「Z 8」はとうとうメカシャッターレスを実現した。
センサーの読み出し速度が速くなるとそのぶんAF時の演算回数も増やせるのでAFは高速になるし連写速度も上げられる。
メカシャッター併用ではあるが、ソニーの「α1」やキヤノンの「EOS R3」、富士フイルムの「X-H2 S」、OMDSの「OM-1」も高速読み出しセンサーを採用している。上位機種だけの採用なのはセンサーの価格によるものだろう。
でも、かなり前から本命は「グローバルシャッター」だといわれてきた。グローバルシャッターは全画素同時読み出しが可能なので電子シャッターでも歪みを完全に抑えられ、完全なメカシャッターレスな撮影が可能になるのだ。
そして1月に登場するソニーの「α9 III」でデジタル一眼へ初採用されるのである。これは年末年始に試用してレビューする予定なので楽しみである。
高画素で汎用性が高いフラグシップ機のα1と速さに特化したα9 IIIという2つのラインがすみ分けできるというソニーの強みだ。
これでニコンのZ 9、ソニーのα9 IIIとメカシャッターレスで高速AF&高速連写のフラグシップがそろい、夏のパリ五輪を迎える。そう、今年はオリンピックイヤーなのだ。望遠+高速連写がその真価を発揮し、トップクラスのスポーツカメラマンに機材を使ってもらえ、その姿がメディアにものっかる一大スポーツイベントである。
そうなると気になるのがキヤノン。一眼レフ時代は、キヤノンの「EOS-1」シリーズが白レンズとともにずらっと並んでいたからね。
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