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「互換バッテリー」とどう付き合っていくべきか小寺信良のIT大作戦(1/3 ページ)

» 2024年02月01日 18時30分 公開
[小寺信良ITmedia]

 2023年12月の事になるが、ネットオークション「Yahoo!オークション」において、マキタ製の電動工具に使われているバッテリーの互換品に対し、取り扱いに関する注意喚起を行った。元はといえば、経産省が中国から電気用品安全法、俗に言うPSE法違反の疑いが極めて高いマキタ互換バッテリーが中国工場から大量に出荷されたという情報をつかんだからのようだ。

各種ECサイトではマキタの互換バッテリーが多数販売されている

 この記事を読んで、ニセモノのバッテリーが大量出荷された、と思った方は多いだろう。発火したというSNSの投稿やNITE(製品評価技術基盤機構)による注意喚起など、非純正のバッテリーの事故が急増していると言う情報もあり、純正品を使わないからそんな目に遭うのだバカモノめ、で終わりのはずである。

 だが電気工具をよく使う人やカメラユーザーからすると、「互換バッテリー」はちょっと捉え方が違う。一口に互換バッテリーは悪、とは決めつけられない事情がある。

互換バッテリーが主役の世界

 分かりやすい例として、ソニーの「NP-F970」の話から始めたい。NP-F970は、ソニー製ハンディカムや一部の業務用機で採用されていたバッテリーで、いわゆるF型といわれる一連のバッテリーのうち、一番容量が大きいタイプである。

 ビデオカメラに採用モデルが多く、世の中に大量に出回ったが、これで動くビデオカメラ自体はすでに下火である。よってこのバッテリーで他の機器を動かせないかという動きになった。そこで同じく撮影に使う機器として、LEDライトやワイヤレス伝送器、ポータブルモニターといった機器が、このバッテリーで動くようになっていった。独自規格のバッテリーを機器ごとに買い直すのは無駄だし、製品コストも上がるからだ。

 こうした製品はいまだ現役で流通しているが、肝心のソニー純正の「NP-F970」は2023年12月を以て販売終了となった。オリジナルのF970は2004年に発売されたものであり、すでに20年が経過している。その間内部のセルの進化も当然あるわけだし、20年前と全く同じスペックで製造を続けることは難しいだろう。流通在庫もほとんどなく、今後新品を購入するなら互換品しかないという事になる。

 実際NP-F970の互換品は、Amazonなどで調べれば大量に出てくる。それらの製品が全て「ニセモノ」といえるのか。そうしたものがなくなってしまうと、動かせなくなる周辺機器がたくさんある。中には純正品では存在しなかった残量LEDがあったり、USBから充電できたり、逆にUSB出力もできたりと、バッテリーとして独自の進化を遂げている。要はNP-F970のコネクター及び装着形状を有するだけで、別物に進化している。

 筆者もLEDライト用にいくつか互換バッテリーを使っているが、LEDライトを購入した際に電源として互換バッテリーが付属してきたので、ある意味しょうがないというか、LEDライトからすればその互換品の方がむしろ正規品なわけである。

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