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30秒以内に部屋の“隠しカメラ”をスマホで見つける技術 発見精度95%以上 中国などが開発Innovative Tech

» 2024年01月30日 08時00分 公開
[山下裕毅ITmedia]

Innovative Tech:

このコーナーでは、2014年から先端テクノロジーの研究を論文単位で記事にしているWebメディア「Seamless」(シームレス)を主宰する山下裕毅氏が執筆。新規性の高い科学論文を山下氏がピックアップし、解説する。

Twitter: @shiropen2

 中国の武漢大学やシンガポールの南洋理工大学などに所属する研究者らが発表した論文「LocCams: An Efficient and Robust Approach for Detecting and Localizing Hidden Wireless Cameras via Commodity Devices」は、スマートフォンを使用して、隠しワイヤレスカメラの検出と位置特定を行う手法を提案した研究報告である。

 ユーザーはスマートフォンを検出器として、体の正面に両手で固定して持ち、約5秒間静止した後に右方向に回転する動作を4回実行する。この動作により、隠しカメラの検出と同時に位置特定ができる。

スマートフォンを持って旋回している様子

 このシステムは、無線LAN内のデータパケットを分析することによって、パケット送信率(Packet Transmission Rate、PTR)に基づいて隠しカメラを受動的に検出する。

 カメラの位置特定は、検出器と隠しカメラの間の物理チャネルが見通し内(Line-of-Sight、LOS)伝ぱパスであるかを、チャンネル状態情報(Channel State Information、CSI)サブキャリアの分布に基づいて判断し、軽量な畳み込みニューラルネットワーク(CNN)モデルに基づく特徴抽出アプローチを使用して行われる。

LocCamsのワークフロー

 異なるユーザーや距離、初期位置、カメラの高さを含むさまざまな条件の下で、8つの異なる部屋で9台のワイヤレスカメラを使ってLocCamsの性能を評価した。

 その結果、LocCamsは異なるカメラの位置特定において95.12%の全体的な精度を達成し、カメラと部屋のデータがトレーニングデータセットの一部ではない場合でも、検出から30秒以内に部屋内の隠しカメラを特定できることを示した。

実験に使用した4つの部屋

Source and Image Credits: Yangyang Gu, Jing Chen, Cong Wu, Kun He, Ziming Zhao, and Ruiying Du. 2024. LocCams: An Efficient and Robust Approach for Detecting and Localizing Hidden Wireless Cameras via Commodity Devices. Proc. ACM Interact. Mob. Wearable Ubiquitous Technol. 7, 4, Article 160(December 2023), 24 pages. https://doi.org/10.1145/3631432



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