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Windows、Mac、ChromeOS 仕事PCで本当に使えるOSはどれ?(3/3 ページ)

» 2024年01月31日 18時00分 公開
[井上晃ITmedia]
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それぞれのOSを選択するメリットは?

 さて、こうした最新OSバージョンの情報を踏まえたうえで、各OSを選択するうえでの普遍的なメリットを整理していこう。

 まず、Windowsの主なメリットとしては、(1)そもそものユーザー数が多いこと、(2)機器の仕様・価格にバリエーションがあること、(3)対応するアプリケーションソフトウェアが多いこと――などがよく挙げられる。

 1つ目のシェアの高さについては言うまでもないかもしれない。例えば、ICT市場調査コンサルティングのMM総研が公開している情報によれば、2022年度の国内法人市場向け出荷台数シェアの上位5位は、NECレノボ、日本HP、デル、FCCL、Dynabookであり、これらが85.8%を占めているのが分かる。母数が多いことは安心に直結する要素だ。

<画像04>(出典:MM総研 プレスリリース「台数減少するも出荷金額は2ケタの増加に」

 2つ目の機材のバリエーションは、柔軟な選択を可能にする。つまり、同じWindows搭載機器だとしても、数多くのメーカーが、さまざまな価格帯でPCを展開しているため、選定の手間こそ生じるものの、想定用途や予算感にあった柔軟な選択がしやすい。

 なお、3つ目の対応アプリの多さについては、正確な数字が分かっているわけではなく、あくまでも一般的に言われている“傾向”にすぎないので、眉に唾をつけながら業種ごとにツールの対応状況をチェックしてほしい。過去にWindows向けのツールしかなかったジャンルでも、昨今はMacでも駆動するSaaSなどが増えていることは十分あり得る。ツールの選択肢が柔軟になるくらいの認識でも問題ないはずだ。

 続いて、macOSの主なメリットだ。こちらは、「Apple製品向けのアプリケーション開発に不可欠」というデベロッパー視点の必要性を除くならば、(1)Apple製品との連携が行いやすいこと、(2)機材のバリエーションが限定されており選定・管理がしやすいこと、(3)機材のスペックが足りないという事態が起きづらいこと――という3点になるだろう。

 これらの特性は、Windowsのそれとは対極に位置している。そもそも、macOSを提供しているメーカーはApple1社であり、選定時にWindowsで起こりうるようなブランドごとの機能差・サポート体制の差などを考慮に入れずに済む。機種のラインアップの数もかなり限定され、基本的に現行機種を選択すれば、搭載するプロセッサの性能不足などで失敗することもない。PC導入の担当者としては、macOSと決まってしまえば、その後の選定は比較的苦労せずに済むというわけだ。

 最後にChromeOSのメリットは、コストを抑えられることに尽きる。ChromeOSを搭載した「Chromebook」は複数メーカーから販売されているが、おおむねWindowsやMacと比べて安価に設定されている。また、SOHO/法人向けの「Chrome Enterprise」でデバイスを統合管理できる他、Google Workspaceといった自社サービスとの親和性も高い。スペック的に高度な用途を想定する場合には支障が出てくることも考えられるが、GoogleのサービスやブラウザベースのSaaSなどの利用が中心用という企業ならば、導入を検討してみる価値はあるはずだ。

 なお、IT管理者としては、キッティングの手間が比較的かかりづらいこともメリットになるかもしれない。ただし、ChromeOSに慣れていない社員に、操作方法を周知する方法には工夫が必要になるだろう。

AIなどの新機能をどう活用していくか

 OSの選定は、デバイス管理やユーザー統制のシステムが絡んでくる話なので、多くの企業にとって軽い気持ちで新OSを取り入れる決断はなかなか難しい。しかし、冒頭でも話した通り、今はちょうどWindows 10のEOSまで2年を切っているタイミングである。システム周りの見直しを含め、DXを前提とした社用PCの選択を柔軟に行える好機と考えれば、大胆な施策も狙いやすいだろう。

 ただし、上述してきたような各OSのトレンドや傾向を踏まえたうえで、やはり変則的なアプローチはせず、引き続き「Windows 11」へのアップデートを検討しようという方が多数派になるのではないか、とは予想する。特に、バージョン23H2からは、AI関連のアップデートもキャッチーであり、実際にOSとしての今後の可能性を感じる部分も大きい。

 さて、こうした予想を前提に「Windows 11バージョン23H2」にフォーカスしつつ、業務効率化のヒントになるであろう最新のAI機能や、仕事で使える便利なテクニックなど、次以降の記事で紹介したい。

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