米Appleの製品には「魔法のような」という形容詞がつきやすい。だが、筆者は少し違うと思っている。
技術に魔法も近道もない。だが、大量の予算とエンジニアを貼り付けて「時間を早送りする」ことは可能ではある。
Vision Proの実機を使ってみると、そんな思いを強くする。
Vision Proを入手するまでの経緯に加え、製品がどのような特徴を備えているのか、“魔法のような”ものは存在するのか、少し解説してみたい。
Vision Proは米国でのみ販売が開始される。だから日本で製品を手に入れるのはなかなか大変だ。価格が高いだけでなく、そもそも「米国のApple Storeから入手する」のに困難がつきまとう。
事前に課題点は4つあった。
まず「入手法」。海外のApple Storeは、その国にしか発送してくれない。今回の場合だと、米国国内の住所にのみ発送、もしくは米国国内のApple Storeへとりにいく必要が出てくる。
次に「決済」。米国のApple Storeが受け付ける決済でなくてはいけない。日本発行のクレジットカードがNGである可能性はあったが、これは結果的に問題なかった。
3つ目は「視力補正」。Vision Proはメガネを併用できない。現状、アップルが純正として指定しているツァイスのインサートレンズを買うか、コンタクトレンズを使うかという話になる。インサートレンズの購入には米国の医師が発行した処方箋が必須。なかなかな難関だ。
最後に「技適」。これは購入時にも全く情報がなく、最悪の場合、米国版が日本でのいわゆる「技術基準適合証明」を受けていない可能性もあった。これに対処するには、まず米国で使うことを前提としつつ、必要であれば「技適未取得機器を用いた実験等の特例制度」の申請を行う必要が出てくる。
4つの問題にどう対処したか?
簡単に言えば「ソフトコンタクトレンズを作り、日本から予約し、ハワイに行って受け取り、まずはハワイでテストする」という選択をしたのだ。
これ自体も紆余曲折あり、米国在住の友人に受け取ってもらって日本配送……という手段も考えたが、結局2月2日の発売日にハワイ・ホノルルはカハラにあるApple Store Kahalaで受け取れることになったので、急遽ハワイ行きを決めた。フライトチケットは別のことに使う予定で貯めていたマイルを突っ込んで低コストにし、色々工夫しての低予算・緊急出張である。
ちなみに、筆者は20歳の頃からメガネを使っていて、コンタクトレンズは使ってこなかった。今回が初コンタクトレンズである。話し始めるといつまで経っても本題に入れないので割愛するが、ぶっちゃけ「予約よりもなによりも、コンタクトレンズが簡単につけられるようになるまで慣れる」のが一番大変だったことを告白しておく。
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