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小学館、「セクシー田中さん」芦原先生の逝去にコメント発表 現場編集者からの声明も

» 2024年02月08日 20時40分 公開
[ITmedia]

 「セクシー田中さん」の原作者である芦原妃名子さんが亡くなったことを受け、小学館がコメントを発表した。また、芦原さんが寄稿していた「姉系プチコミック」が所属する小学館第一コミック局の現場編集者による声明も掲載。「芦原妃名子先生の訃報に接し、私たち第一コミック局編集者一同は、深い悲しみと共に、強い悔恨の中にいます」としている。

小学館(旧本社)

 今回の声明は、同作品のドラマ脚本を手掛けた相沢友子さんによるInstagramの投稿に端を発するもの。相沢さんは、ドラマ終盤の脚本に原作者が関与していたことなどをInstagramで明らかにしていた。一方原作者の芦原さんは、原作を無視した脚本が何度も上がってくるなど、ドラマ化を担当した日本テレビと意思疎通できていなかったことをX(旧Twitter)で打ち明けていた。しかし芦原さんはのちにこの投稿を削除。「攻撃したかったわけじゃなくて。ごめんなさい。」との投稿を残したあと、亡くなったことが判明した。

 その後、小学館は芦原さんの冥福を祈るコメントを発表していたが、事態の説明などはしていなかった。一部スポーツ紙が経緯の説明など対外発信を行わないとする社員向けの説明会の様子を報じると、それに対し読者だけでなく複数の漫画家からも異議を唱える声が上がっていた。

 小学館は「芦原先生の生前の多大な功績に敬意と感謝を表し、謹んでご冥福をお祈りいたします」「『セクシー田中さん』の映像化については、芦原先生のご要望を担当グループがドラマ制作サイドに、誠実、忠実に伝え、制作されました。しかしながら、今回のような事態となったことは痛恨の極みです。二度とこうした悲劇を繰り返さないために、現在、調査を進めており、今後、再発防止に努めて参ります」と、調査を進めている旨を明かした。

現場の編集者のコメントも

 第一コミック局の声明では、著者全員が持つ「著作者人格権」に触れ、芦原さんのコメントを引用しながら「著者の意向が尊重されることは当たり前のことであり、断じて我が儘や鬱陶しい行為などではありません。守られるべき権利を守りたいと声を上げることに、勇気が必要な状況であってはならない。私たち編集者がついていながら、このようなことを感じさせたことが悔やまれてなりません」とつづっている。

 SNSでは、小学館が日本テレビ側にきちんと芦原さんの意向を伝えられていなかったのではという指摘が相次いでいたが、これに関して「先の2023年8月31日付の芦原先生のコメントが、ドラマ放送開始日2023年10月22日よりも2か月近く前に書かれ、そしてドラマ放送開始前に7巻が発売されているという時系列からも、ドラマ制作にあたってくださっていたスタッフの皆様にはご意向が伝わっていた状況は事実かと思います」

 「そして勿論、先生のご意向をドラマ制作サイドに伝え、交渉の場に立っていたのは、弊社の担当編集者とメディア担当者です。弊社からドラマ制作サイドに意向をお伝えし、原作者である先生にご納得いただけるまで脚本を修正していただき、ご意向が反映された内容で放送されたものがドラマ版『セクシー田中さん』です。そこには、ドラマのために先生が描き下ろしてくださった言葉が確かに存在しています」と、経緯を説明した。

 今後のドラマ化にあたっては、「勿論、これだけが原因だと事態を単純化させる気もありません。他に原因はなかったか。私たちにもっと出来たことはなかったか。個人に責任を負わせるのではなく、組織として今回の検証を引き続き行って参ります」「今後の映像化において、原作者をお守りすることを第一として、ドラマ制作サイドと編集部の交渉の形を具体的に是正できる部分はないか、よりよい形を提案していきます」と、検証の対策の方向性について語っている。

 声明では、芦原さんがどういったスタンスで作品を作り続けてきたか、今回のコメントを出すにあたり編集部内でどういった葛藤があったかなどをも記されている。全文は小学館のサイトから確認できる。

(クリックで拡大)小学館が掲載したコメント全文

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