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欧州議会、AI規制法「AI Act」可決 完全適用は2年以内

» 2024年03月14日 07時35分 公開
[佐藤由紀子ITmedia]

 欧州連合(EU)の立法議会である欧州議会は3月13日(中央ヨーロッパ時間)、包括的なAI規制法案「EU AI Act」を可決したと発表した。賛成523票、反対46票、棄権49票。

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 EUは2020年からAI規制について討論を続け、昨年6月には法案を可決し、欧州議会、欧州委員会、欧州連合理事会の代表が最終版を検討してきた。

 AI Actは、AIの潜在的なリスクと影響のレベルに基づいてAIに対する義務を定めるもの。欧州域内市場担当委員ティエリー・ブルトン氏は、Xに「欧州は今やAIの世界標準設定者となった」とポストした。


 AI Actはこの後、評議会が正式に承認する必要があり、公式ジャーナルに掲載されてから20日後に発効し、発効から2年後に完全に適用される見込み。ただし、禁止行為に対する禁止は発行日から半年後から適用される。

 「基本的権利に対する明らかなリスク」をもたらすAIアプリは禁止される。たとえば、生体認証データの処理を伴う一部のアプリは禁止される。

 教育、医療、法律、国境管理、選挙などで使うAIシステムなど、「ハイリスク」とみなされるAIシステムは厳格な要件に準拠する必要がある。

 スパムフィルターなどのリスクの低いサービスにも規制を設ける。

 生成AIツールやチャットbotのシステムによってもたらされるリスクに対処するための規定も設けられている。つまり、米OpenAIのChatGPTや米GoogleのGemini、米MicrosoftのCopilot、米AnthropicのClaudeなども規制対象だ。

 こうしたツールやLLMの開発者は、モデルのトレーニングに使っているデータについて透明性を確保し、EU著作権法に準拠する必要がある。

 OpenAIのサム・アルトマンCEOは昨年5月、AI Act法案の審査中に、この法律を順守できない場合、欧州での事業を停止する可能性があると語り、その後この発言を撤回した。

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