静岡県焼津市は、市内にある「焼津市駿河湾深層水脱塩施設」を利用した約1万5000人の個人情報が漏えいしたおそれがあると発表した。業務委託先の従業員が「サポート詐欺」にかかったとみられる。
漏えいのおそれがある個人情報は、施設を利用する際に登録した氏名、住所、電話番号、そして登録日と登録番号。クレジットカード番号などの情報は含まれてない。
同市は日本一深い駿河湾から採取した海洋深層水を加工し、「駿河純水」「駿河濃水」の名称で販売しており、流出したおそれのある利用者は深層水の購入者だった。なお、同施設の利用登録や深層水の購入は、併設する「深層水ミュージアム」が窓口になっている。
焼津市によると、3月14日に施設の管理業務を委託している静岡県水産加工業協同組合連合会の従業員がPCを操作した際、ウイルス感染したという内容の表示があり、表示された電話番号に電話して指示通りに対応したという。
これは、偽のセキュリティ警告を表示し、サポート窓口をうたう番号に電話をかけさせて有償のサポートやセキュリティソフトの契約を迫る「サポート詐欺」だったとみられる。従業員はおよそ32万円を支払ってしまった。
翌15日の午前8時30分ごろ、別の職員が当該PCの電源を入れたところ、見慣れない画面が表示されたことで異常が発覚した。さらにその画面が「遠隔操作を思わせる内容」だったため、市は情報漏えいのおそれありと判断。従業員に聞き取り調査をするとともに、詳細なログ解析などを行う考えだ。
焼津市は「専門業者に漏えいログの解析を依頼するとともに、個人情報の流出の恐れがある方に通知し、適切に対応してまいります」としている。
情報処理推進機構(IPA)によると、サポート詐欺の相談件数は増加傾向にあり、23年10月には過去最高の月間519件となった。偽の警告画面が表示された場合、記載の連絡先に電話したり、チャット画面に情報を入力することはせず、全画面表示を解除したり、PCを再起動したりして画面を閉じるよう呼び掛けている。
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