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シェアサイクルが福岡市にもたらした意外な効果 “漕がない電動”も座るタイプへ? 主要3社の最新動向(3/3 ページ)

» 2024年04月23日 11時00分 公開
[島田純ITmedia]
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ステーション数で日本最大、HELLO CYCLING

 OpenStreetの工藤社長は「我々が展開するHELLO CYCLINGのステーション数は全国の事業者で最大です。でも、利用回数は……ドコモ・バイクシェアの方が上なんです」と紹介すると、会場では笑いがこぼれた。

 同社のステーション数は日本全国で7400カ所。偶然にもこれは台湾の主要都市で展開する「YouBike」のステーション数と同等だ。旅行で台北市内などの「YouBike」のポートや自転車を見かけたことがある人も多いだろう。日本と台湾では面積の違いもあり、単純な比較に意味は薄いかもしれないが、「YouBike」は月間1000万回、年間では1億回の利用がある台湾最大のシェアサイクルサービスと、ステーションの数では同等規模に成長している。

ステーション数では国内最多のHELLO CYCLING

 OpenStreetでは、これまで主力としてきた電動アシストタイプの自転車に限らず、新たに「電動サイクル」と呼ぶ、“漕がずに進む”車両を2024年2月に千葉市とさいたま市の一部に投入した。これは、2023年7月の道路交通法の改正によって新設された「特定小型原動機付自転車」に分類され、16歳以上であれば免許不要で利用できる。

OpenStreetは座って乗れる「電動サイクル」を投入した。千葉市とさいたま市に投入されている

 「電動キックボード等」と言われることが多いこの車両区分だが、OpenStreetとglafitが共同開発した「電動サイクル」もこの区分に分類される。福岡で開催された全国シェアサイクル会議の直後に、関係者向けの試乗会が開催された。

 車体については、フル電動タイプの車両のため走行音がしなかったり、ウインカーにニュートラルが無いため誤操作しやすかったりするなど、細かな点での心配はあるが、これまで電動キックボードに比べて安全性は高そうに感じる。

 というのも、電動キックボードは車輪の経が小さく、重心も高いため、安定性に疑問があった。これに対し、電動サイクルは車輪の経もあり、座って乗れるため重心も下がる。交通ルールを守れば、公道(車道)もある程度安全に走れるだろう。

都内で存在感を放つドコモ・バイクシェア 郊外ではスポーツタイプなども

 ドコモ・バイクシェアは、北は北海道、南は沖縄(那覇)まで、日本の各地でシェアサイクルを自らまたは提携事業者との協力によって運営している。

 ドコモ・バイクシェアの自転車は、ドコモのコーポレートカラーである赤を基調としたデザインで、都内(都心部)で特に目にする機会が多い。東京都内の広域相互乗り入れが可能な区は、千代田区、中央区、港区、新宿区、文京区、江東区、品川区、大田区、渋谷区、目黒区、中野区、杉並区、練馬区、世田谷区、台東区、墨田区の計16区に拡大している。

新たに都内広域エリアに加わった台東区内のドコモ・バイクシェアポート(松坂屋 上野店)

 都心部ではシティタイプの自転車を投入するが、その他エリアではエリアに合わせた自転車を投入している。例えば、仙台市の「海手(うみのて)サイクル」ではシティタイプと比べて車輪の大きなタイプの自転車を投入している。ほかにも、長野県東御市では、隣接する上田市・千曲市との合同実験とは異なり、スポーツタイプの電動アシスト自転車を投入するなど、多様なタイプの車両を投入している。

海手サイクル(仙台市沿岸部)
とうみシェアサイクルのスポーツタイプ車両
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