薄くなったにもかかわらず、パフォーマンスは相当向上している。
M3チップで採用した3nmプロセスの第2世代という触れ込みだったので、M4チップでの改良はタンデムOLED用のディスプレイエンジンの搭載が主で、CPUやGPUの性能はそこまで上がってないと思っていた。だが、ベンチマークを計測したところ、コアごとの性能は前モデルのM2チップより17〜50%向上している。
ハードウェアとOSが違うので、一概に比べるわけにはいかないかもしれないが、M3が搭載されたMacBook Airと比べても11.4〜23%向上してる。これまでのM1〜M3の進化と同様に、Mシリーズチップは世代を追うごとにおよそ15〜20%性能向上する……という法則は守られている。
また、M2で搭載されたメディアエンジンや、M3で搭載されたダイナミックキャッシング、メッシュシェーディング、ハードウェアアクセラレーテッドレイトレーシングなども搭載されているので、8Kなどデータ量の多いビデオ編集や、3Dグラフィックス、ゲームなどにおいては、さらに高いパフォーマンスを発揮できる。
さらに注目は、HDR輝度1000ニト、ピーク輝度1600ニト、200万:1のコントラスト比を実現しているタンデムOLEDディスプレイだ。間違いなく歴代アップル製品で、もっとも美しいディスプレイを持つ製品だといえる(サイズ感の違うiPhoneを除けば)。
今回同時に発売されたiPad Air(M2)と比べてもその差は歴然で、この美しいディスプレイはiPad Pro(M4)ならではの魅力といえるだろう。写真でお伝えできるかどうかは分からないが(ウェブを経由することで圧縮されるし、最終的に色彩はこの記事をご覧になるディスプレイに左右されるので)、肉眼で見る限りで一番特徴的なのは黒がはっきりと黒いこと。これにより、色の鮮やかさも際立っている。
写真やビデオの編集部、3Dグラフィックスなど、映像を扱う人にとっては、このディスプレイは魅力的だ。
ただし、悩ましいのはクリエイティブにこのディスプレイを使っても、必ずしもこの色域、コントラスト比でクライアント側が見てくれるとは限らないということだろう。また、モノトーンのマンガを描くのにも本機である必要はないかもしれない。
総合的には金銭的余裕や、他の機能も合わせての判断になると思うが、iPad Air(M2)のパフォーマンスも相応に上がっているので、円安で高くなり過ぎたiPad Pro(M4)より、iPad Air(M2)を選ぶというのも見識かもしれない。
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