この記事は新野淳一氏のブログ「Publickey」に掲載された「OpenAI、AIインフラをAzureだけでなくOracle Cloudへも拡大へ」(2024年6月13日掲載)を、ITmedia NEWS編集部で一部編集し、転載したものです。
米Oracle、米Microsoft、米OpenAIの3社は提携を発表し、OpenAIにさらなるAIインフラのキャパシティを提供するために、OpenAIが利用するプラットフォームをMicrosoft Azureに加えてOracle Cloudへ拡大することを発表しました。
もともとOpenAIとMicrosoftは複数年にわたる長期的なパートナーシップにより、Microsoft AzureがOpenAIの独占的なクラウドプロバイダーとして、研究や製品、APIによるサービスなど、OpenAIのすべてのワークロードを支えることを発表しています。
今回の3社の提携は、このOpenAIを支えるクラウドプロバイダーにOracle Cloudが加わることを意味します。
OpenAIのサム・アルトマンCEOはこの提携に当たり、次のようにコメントしています。
We are delighted to be working with Microsoft and Oracle. OCI will extend Azure’s platform and enable OpenAI to continue to scale,
MicrosoftとOracleと協力できることをうれしく思います。OCI(Oracle Cloud Infrastructure)はAzureのプラットフォームを拡張し、OpenAIの継続的な拡張を可能にしてくれるでしょう。
今回の発表は、Azure単体の成長では追いつかないほど急速にAIワークロードのニーズが拡大していることを示していると言えそうです。
そうした中でOpenAI/MicrosoftがAIインフラ拡大先のクラウドとして選んだのは、なぜOracle Cloudだったのでしょうか?
理由は2つ考えられます。
1つは、OpenAI/Microsoftにとって、Oracleが(よくも悪くも)強力な競合関係になかったという点です。
AWSやGoogle Cloudは、クラウド市場においてもAI市場においてもOpenAI/Microsoftにとって競合関係にあるのは明らかであり、提携先の選択肢としてはなり得なかったはずです。
その点、OracleはOracle Cloudというハイパースケーラーに並ぶ強力なクラウドを持ちつつも、クラウド市場やAI市場において競合関係にあるとは見なされていません。オラクルは手を組みやすく、しかも十分な技術を持つ相手だったわけです。
特にMicrosoft AzureとOracle Cloudは高速回線で両社のクラウドを接続し、相互運用を可能にするという協力関係にあります。
参考:[速報]マイクロソフトとオラクル、クラウドの相互接続で合意。クロスクラウドのシングルサインオン、AzureからOracle Cloud Databaseへの接続などが可能に
そしてこれが2つ目の理由です。つまりMicrosoft Azureのワークロードを外部に拡大しようとすると、高速回線で接続されているOracle Cloudを利用することが、技術面で最も最適な方法となるわけです。
MicrosoftとOracle、クラウドの相互接続で合意 クロスクラウドのシングルサインオン、AzureからOracle Cloud Databaseへ接続など可能に
MicrosoftとOracle、「Oracle Database@Azure」発表 共同でAzure上でのOracle Exadataベースのマネージドサービスを提供
日本国内でMicrosoft AzureとOracle Cloudが相互の高速接続およびシングルサインオンを実現
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