今回公開された「デジタル認証アプリ」は、スマートフォン側で、このマイナンバーカードの仕組みを使って、本人であることを認証するという仕組みだ。
もちろん、これまでのマイナンバーカードを使った認証は可能だったが、民間事業者が別途アプリを開発する負担なくこの機能を利用できるようになる。また、利用証明電子証明書(カードによる認証)については、認証コストの問題があり普及が進んでいなかったが、このアプリにより事業者負担なく利用できるようになるので、そちらについても利用が広まることが期待される。
利用方法を説明しよう。まず暗証番号を入力し、マイナンバーカードをタッチする。すると、どの情報がやりとりされるかが表示される。先ほど説明した氏名、住所、生年月日、性別の4情報の全部、もしくはいずれかが渡されるか、それとも何も渡されないかが表示される。そして、それでOKなら認証ボタンを押す。
この認証は、アプリだけではなくAPIとしても提供されるので、今後この仕組みはさまざまなサービスのアプリにも組み込まれる。このAPIは誰でも利用できるというわけではなく、申請と契約が必要だ。
これにより、スマホにマイナンバーカードをタッチすることで、政府や市役所のサービスを受けたり、金融機関に口座を開設したり、なんらかのアカウントを作成したりする際に、本人であるということを証明することができるようになる。
本人認証が容易、かつ確実になると、われわれの生活のさまざまな部分で活用できる。従来であれば、マイナンバーカードや免許証など、本人確認書類の画像やコピーといった曖昧なもの(その真正性をどうやって確認するというのだろう?)で行われたり、戸籍抄本や、別途の本人確認書類が必要だったりする手続きも、マイナンバーカードとスマートフォンを使うことで行えるようになる。
例えば、市役所のサービスにログインする時に。例えば、銀行の口座を開設する時に。今後、対応サービスが増えてきたら、本日公開された認証アプリを使う「あなたが、あなたであること」を立証できる。
ライブのコンサートチケットや人気商品でも、自分の身元を証明したうえで買えるようにすることで、「1人1枚」「1人1個」など、オンラインでの限定販売がしやすくなる。一般のユーザーが欲しがっているのに、転売ヤーがガンプラを買い占めて手に入らない……なんていう問題もようやく解決しそうだ。
もしSNSやマッチングアプリの登録に使われるようになれば、なりすましなどの詐欺アカウント作成防止につながるし、携帯回線をオンラインで契約する際の本人確認に利用すれば、今話題の「SIMスワップ詐欺」という問題も(非対面なら)解消する。
認証の重要さに応じて、マイナンバーカードと対面での認証、パスワード認証などをどのように組み合わせるか? 氏名、住所、生年月日、性別の4情報をどこまで提供するか? などについてガイドラインがあるが、それが正しく運用されているかどうかは、我々ユーザーもチェックの目を光らせておく必要がある。
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