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中小のプロダクションでも導入可能? 映像制作に特化した“お手軽”な国産クラウド「Mass」を試す小寺信良の「プロフェッショナル×DX」(1/3 ページ)

» 2024年09月05日 10時00分 公開
[小寺信良ITmedia]

 放送や映像制作機器を幅広く扱うソリューションプロバイダーのビジュアル・グラフィックスが、映像制作用クラウドサービス「Mass」を自社開発し、今年から運用を開始した。同じグループ会社の朋栄と共同でソリューション提供にあたる。

 クラウドサービスとして映像制作に必要なソリューションとしては、映像素材のアップロード・ダウンロードは当然として、素材管理としてのアセットマネージャ、映像プレビュー、ファイル共有、NLEとの連携といった機能が必要とされる。

 これまでにもすでに映像制作用とされるクラウドサービスは数多くあるが、どちらかというと即時性が求められる部分、例えば現場からすぐ映像をアップロードできて、アップ中に編集には入れますよといった、報道向けのものが多かった。

 報道とはすなわちテレビ局であり、システムも大掛かりで導入金額も高い。一方で編集を前提とする番組制作では、いっそうの合理化は求められているものの、クラウドサービスの活用はかなり限定的だ。

 それというのも、従来のクラウドサービスではストレージ容量で基本料金は決まるものの、アカウントが増えると別料金が必要だったり、ダウンロードが従量制だったりといった料金形態になっており、最終的に一体いくらになるのか、運用してみないと分からないといった状況だったからだ。番組やプロジェクト単位で小さく始めるならば、運用費は番組制作予算から出さなければならなくなり、十分に活用できる状況になりにくい。

 一方、Massの「TEAM」サービスは10TB/月額28万4000円の固定料金で、接続するアカウント数はサービス上の論理値最大の5000IDが利用可能。アップロードもダウンロードも別途料金はかからない。サービスを再販するなどエンタープライズ的に使いたければ別途見積が必要だが、制作会社単位やプロジェクト単位で契約できるスケールが基本になっている。

料金体系がシンプル

 使用ストレージは、「コールドストレージの料金でホットストレージのスピードが使える」がウリの「Wasabi」。Wasabiは2021年から日本でもサービスを開始したが、汎用クラウドストレージなので、映像関係者が簡単につながるための仕掛けがなかった。それにMassというサービスがUIとして被さることで、使い勝手を制作側に寄せてきたということだ。

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