「ぶっちゃけ、最初期のメンバーを集めたときは……」「ストレスで体重100kgになったときも……」「昔は『集中と選択』をばからしいと思っていたが、今考えると自分が恥ずかしい」──Finatextホールディングスの林良太CEOが、ITmedia NEWSが8月6日に開催した少人数制リアルイベント「今だから聞ける『スタートアップ失敗談』」で、創業から上場までの反省談を赤裸々に講演した。
普段はテックスタートアップで働く人をターゲットに情報を発信するコーナー「Tech Starter」の運営などを通して、スタートアップ関連記事を掲載しているITmedia NEWS。今回は、実際にスタートアップ経営者の生の声を聞いてみるというコンセプトで、初のリアルイベントの開催に至った。
中でも会場が盛り上がったのは、林CEOによる“ぶっちゃけトーク”だ。講演はパネルディスカッション形式で、創業から上場までの苦労話が披露された。合間に挟まる赤裸々なトークは来場者の関心を誘った。
例えば、プロダクト開発の傍らで進めていた資金調達に関する苦労話。「(プレゼンテーション用の)きれいなスライド作るのはダサいみたいな考えあるじゃないですか……僕はあるんですけど。でも……やっぱりスライドはきれいに作ったほうがいいですね」と、考えを180度変えた話で笑いを誘った。というのも林CEOには考えを変える、とあるきっかけがあったという。
「とある会社に(資金調達の話を)持って行ったがけんもほろろで『一生忘れないからな』という感じだったんですけど。ただ、そんな(見た目が良くない)スライドを持っていったらそうだよな、とも思ったんですよね。その後、良いスライドが作れる人が入社したので、別の会社に持っていったら、全く同じ話を少し違うストーリーで語ってもらっただけなのに、相手にドハマり。スライドはちゃんと作るか、外注するなどお金をかけた方がいい」(林CEO)
この反省は今でもコーポレートサイトなどで生きているという。「スライドやコーポレートサイトに金をかけるのはダサいという雰囲気もありますけど、かけた方がいい。見た目をきれいにすることはすごい大事。結果としてうまく資金調達できた」
優秀な人材をどう集めるか、そしてその人材の価値をどう発揮するか──というテーマのトークでも、林CEOは来場者の関心を得た。林CEOは人材を集める秘訣について「僕がちょっと、抜けてるからだと思う。例えばいまだにバランスシートの項目を忘れることもある。分からないことに誇りを持っているわけではないが、そういうところが“ちょうどいい”のかもしれない」とぶっちゃけた。
とはいえ「社長は先頭に立ち、誰よりもうまくやらなくてはいけないのでは」とする考え方も当然あるはずだ。これを問うモデレーターの質問に対し、林CEOは「優秀な人の中には人から言われたことをやりたくない人や、泥臭いことをやりたくない人もいる。でも『社長が(率先して)やるぞ!』となっていれば、みんなやるじゃないですか。今僕も偉そうにしゃべっているけど、Finatextホールディングスの社長だからなんとなく聞こうと思えると思う。営業でも採用でも、それを最大限使えばいいと思う」と自身の考えを述べた。
イベントはスポンサーなしでの開催だったが、趣旨に賛同したデル・テクノロジーズも協力。林CEOによる講演の後、同社が自社の起業家支援プログラムについてプレゼンテーションを実施した。その後は、来場者や講演者、編集部員が全員参加する交流会も行われた。
交流会は、スタートアップで働く人や、起業に関心がある来場者、ITmedia NEWSの編集者、そしてゲストが意見交換を交わす場に。中には林CEOにさらなる質問をぶつける人もいた。編集部に「こんなコンテンツが読みたい」「またリアルイベントを開催してほしい」と投げかける人もおり、イベントは盛況のうちに幕を閉じた。
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