東京大学の研究チームは10月17日、ニコラ・テスラが発明した、流れを一方向に流す装置「テスラバルブ」によって、熱の流れやすさを制御する効果を実現することに成功したと発表した。「スマートフォンやPC、LEDなどの発熱の大きな電子機器の熱管理に広く利用されることが期待される」(研究チーム)という。
テスラバルブは交流電流の発明などで知られるニコラ・テスラが1920年に発明。その後、流体の他に電子についても整流できることが分かっていた。研究では、グラファイト材料でテスラバルブ構造を作製。固体のグラファイト内で熱の運び手として流体的に振る舞う「フォノン」の性質により、熱整流効果が現れたという。
熱整流効果を確認したのは、マイナス248.15度〜マイナス213.15度(25〜60ケルビン)の範囲内。最も効果が強かったのは-228.15度で、熱が流れにくい“逆方向”に対し、“順方向”は15.4%程度熱伝導率が高かったという。研究チームは「理論的には、室温でもこの熱整流の効果が有効」としている。
「グラファイトは、軽量、安価で、銅の数倍の高い熱伝導率をもつ実用的な材料であり、スマートフォンやPC、LEDなどの発熱の大きな電子機器の熱対策素材として製品化されている。本研究は、グラファイトが単なる放熱素材としての役割に加え、熱整流素子などの熱機能材料としても活用できる可能性を示した」(同)
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